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米卸売物価指数、9月は0.4%上昇 12月利上げ観測持続か
[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇した。
市場予想も0.4%上昇だった。8月は0.2%上昇していた。ハリケーン「ハービー」によってテキサス州の石油精製施設での生産が減り、ガソリンが2年超ぶりの大幅な値上がりとなった。
今回の指標は、この日公表された失業保険申請件数とともに、基調的な底堅さを示したとみられ、連邦準備理事会(FRB)の12月追加利上げ観測が持続する可能性もある。
バンク・オブ・ザ・ウエストの首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「本日公表されたインフレ動向や労働市場の底堅さは、12月利上げ予想を後押しする重要な手掛かりとなる」と語った。
9月の前年同月比は2.6%上昇と、2012年2月以来の大幅な伸びだった。市場は2.5%の上昇を見込んでいた。8月は2.4%のプラスだった。
ガソリン価格は10.9%急騰。15年5月以来の大幅なプラスだった。9月はモノの価格が0.7%上昇したが、ガソリンはそのうち3分の2を占めた。8月は9.5%上昇していた。
労働省当局者はエネルギーの値上がりについて、「ハリケーン・ハービーによってメキシコ湾岸部での精製能力が減った」結果だろうと述べた。ハービーもフロリダ州を直撃したハリケーン「イルマ」も、PPIの集計の回答率への影響は「実質的に」なかったとした。
8月下旬から9月上旬に上陸したハービーとイルマの影響で9月は就業者数が7年ぶりに減った。また、個人消費が抑制されたほか、鉱工業生産と住宅建設、住宅販売が落ち込んだ。
原油の供給量が豊富であることから、ガソリン価格を主な要因とするPPIの上昇は一時的とみられる。
変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。8月も0.2%上昇していた。9月の前年同月比は2.1%上昇。8月は1.9%上昇だった。
物価は比較的低い水準で推移している。FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数は8月に、FRBの目標とする2%からさらに遠ざかった。労働市場が最大雇用状態に近づく中でも物価圧力は弱いままだ。
9月の食品価格は前月から横ばいだった。8月は1.3%下落していた。モノのうち食品とエネルギーの除くコア物価は0.3%上昇した。8月は0.2%上昇だった。
サービスは0.4%上昇。卸売業者や小売業者の利益幅を映し出す貿易サービスの値上がりが主な押し上げ要因だった。8月のサービスは0.1%のプラスだった。
サービスのうちヘルスケアは横ばい。8月は0.3%上昇していた。医療費はFRBが物価の目安として注目しているコアPCE物価指数の計算に組み込まれる。