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米10月卸売物価0.4%上昇、予想上回る 前年比では約5年半ぶり大幅な伸び
[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.1%上昇を上回った。サービス価格が上がったほか、基調的な卸売物価も安定的に伸びている兆しがみられた。
9月も0.4%上昇していた。
10月の前年同月比は2.8%上昇し、2012年2月以来の大幅な伸びとなった。市場予想は2.4%上昇だった。9月は2.6%上昇していた。
今回の結果で基調的な卸売物価が安定的に上昇していることが示され、連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げを決定するとの路線は軌道から外れないとみられる。
MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は、「インフレが低過ぎるとの報告は米経済のいかなる部門にも当てはまらない」とし、「物価上昇の浸透が継続すれば、製造業者は近い将来に消費財の価格を引き上げざるを得なくなる」と指摘。
ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は、「卸売物価指数はインフレを推し量る上での主要な指標ではないものの、同指数が過去2年間にわたり緩やかに回復していることは、インフレ見通しは緩やかに上向いているとの確信を示しているFRB当局者にとり歓迎すべきこととなる」と述べた。
前月比の内訳は、サービスが0.5%上昇。サービスの上昇分の5割近くは燃油・潤滑油の小売りが24.9%上昇したことによるものだった。4.6%下落したガソリン価格の落ち込みを相殺した。ガソリン価格は9月に10.9%急騰していた。8月下旬にハリケーン「ハービー」がテキサス州を直撃し、メキシコ湾岸部の精製能力に影響したためだ。
その後、原油の供給量が豊富な中でガソリン価格は下落傾向にあるが、10月のPPIが上昇した理由にモノの価格が上がっていることも挙げられる。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア物価は0.2%上昇。3カ月連続で0.2%上昇している。10月の前年同月比は2.3%上昇。9月は2.1%上昇していた。
ドルが下落していることでコアPPIは徐々に上昇幅を伸ばす可能性がある。ドルは今年、米国の主要な貿易相手国の通貨に対して5.4%下落している。
労働市場が最大雇用状態に近づく中でも物価の低迷は長引いている。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)物価指数はFRBの目標である2%を12年の半ばごろから下回り続けている。物価の伸びが緩慢な中でも、FRBは12月に利上げするとみられている。労働市場が引き締まる中で来年は賃金の伸びが加速すると、慎重ながらも前向きな見方が出ているからだ。
10月は食品が0.5%上昇。9月は横ばいだった。モノのコア指数は0.3%上昇。9月も同様の伸びだった。自動車は横ばい。10月は2018年モデルの自動車が統計に組み込まれた。
ヘルスケアは0.3%上昇。9月は横ばいだった。医療費はFRBが物価の目安として注目しているコアPCE物価指数の算出に組み込まれる。
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