ニュース速報

ビジネス

デフレ脱却へ企業に賃上げ促す、税制の優遇措置など活用=官房副長官

2017年11月23日(木)18時14分

 11月23日、西村康稔官房副長官は都内で行われた討論会に出席し、賃上げや設備投資に積極的な企業に対する税制の優遇措置を講じることで、個人消費の活性化や物価上昇につなげ、デフレ脱却を目指す考えを示した。9月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 23日 ロイター] - 西村康稔官房副長官は23日、都内で行われた討論会に出席し、賃上げや設備投資に積極的な企業に対する税制の優遇措置を講じることで、個人消費の活性化や物価上昇につなげ、デフレ脱却を目指す考えを示した。

西村氏は日本経済の現状について「デフレではない状態が続いているが、デフレに後戻りしないデフレ脱却とまでは言えない状況」とし、デフレ脱却に向けて税制上の対応で企業に賃上げや設備投資を促していく考えを示した。

具体的には、安倍晋三首相が経済界に3%の賃上げを要請していることを踏まえて「賃上で人に投資をし、設備投資をしている企業には税制上の思い切った優遇措置を与える。逆にやってない企業には、例えば研究開発税制などを使えないようすることも含めて強く賃上げを促していこうと思っている」と述べた。

日銀の金融政策運営に関しては「日銀にお任せしている」としながらも、「日銀は国債に限らず、いろいろなものが買える」と述べるとともに、政府と日銀との共同声明に基づいて「2%の物価目標に向け、引き続き適切に金融政策をとっていただきたい」と要請した。

討論に参加した竹中平蔵東洋大教授・慶大名誉教授は「日銀はあくまでも政府と一体で2%を目指すという姿勢を貫きながら、現実には物価上昇率が(生鮮食品とエネルギーを除いた)コアコアで1%になったならば動き始めると思う」と指摘。

日銀が掲げている2%の物価目標は暗に消費者物価の上昇率を1─3%の間に収めることを意味しているとし、「1%に達したら、それなりの役割を果たしたとの評価ができると思う」との見方を示した。

司会を務めた元日銀審議委員の白井さゆり慶大教授は、足元の良好な景気や副作用への懸念、今後の景気後退に備えて「今から少しずつ金融緩和を縮小させることが大切だ」と主張した。

(伊藤純夫)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

中国、自動車下取りに補助金 需要喚起へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中