ニュース速報

ビジネス

金融庁、店頭FX規制で有識者会議設置へ 証拠金など議論=関係筋

2017年12月07日(木)17時40分

 12月7日、金融庁が、店頭FX(外国為替証拠金取引)の規制のあり方を検討するため、有識者会議を立ち上げる方向で調整していることがわかった。複数の関係筋が明らかにした。写真は都内で2014年8月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 7日 ロイター] - 金融庁が、店頭FX(外国為替証拠金取引)の規制のあり方を検討するため、有識者会議を立ち上げる方向で調整していることがわかった。複数の関係筋が7日、明らかにした。証拠金倍率の引き下げや店頭FX業者のリスク管理などを議論し、市場急変時に投資家が決済できず、日本発の金融システム不安に発展するのを未然に防ぐことを狙う。

年明けにも初会合を開く方向で検討している。金融庁がFXをテーマに有識者会議を立ち上げるのは初。店頭FXの証拠金倍率のほか、店頭FX業者のリスク管理、自己資本比率規制などがテーマになりそうだ。

日本では、店頭FX取引の年間取引が5000兆円に上る。金融庁の幹部は、市場が急変した際に個人投資家のポジションの手じまいなどが集中すれば、店頭FX業者では対応しきれず、金融システム不安に発展しかねないと懸念している。

金融庁は今年10月19日、店頭FX業者との意見交換会の場で、証拠金倍率を現行の最大25倍から10倍に引き下げる方針を提示したが、業者や個人投資家から反発の声が上がっており、有識者会議を通じて問題意識の浸透を狙う。

一方、証拠金倍率の変更は内閣府令の改正で行うが、唐突に改正案を公表すれば急激なポジションの手じまいを誘発し、流動性の低い新興国通貨などの対円相場が乱高下するリスクがあると警戒する市場関係者もいる。有識者会議の設置は、倍率変更の予測可能性を担保する意味合いもある。

2008年のリーマン・ショックを受け、金融インフラの頑健性を確保するため、国際規制である「金融市場インフラのための原則(FMI原則)」が導入された。金融商品取引の決済インフラを担う主体は流動性の管理や速やかな決済などを求められ、取引所FXを担う東京金融取引所はこの原則の下で定期的な情報開示を義務づけられている。しかし、店頭FXはこうした規制の対象外で、リスク管理が課題になっている。

金融庁の広報担当者は、この件について「コメントしない」としている。

*金融庁の対応を追加しました。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラ、従業員の解雇費用に3億5000万ドル超計

ワールド

中国の産業スパイ活動に警戒すべき、独情報機関が国内

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援法案に署名 数時間以内に

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中