ニュース速報

ビジネス

米11月消費者物価0.4%上昇、コアは減速

2017年12月14日(木)00時18分

 12月13日、11月米消費者物価指数は0.4%上昇した。写真はカリフォルニア州の商店街で6月撮影(2017年 ロイター/Mario Anzuoni)

[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇し、前月の0.1%上昇から伸び率が拡大した。市場予想と一致した。ガソリンの値上がりが全体を押し上げた。一方で医療費や衣料費は下がり、基調的な物価圧力は抑制された。

11月の値上がりが加速したことで前年同月比は2.2%上昇に戻った。10月は2.0%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.1%上昇。10月の0.2%上昇から伸び率が縮小した。11月は航空運賃や家庭用雑貨が値下がりした。前年同月比は1.7%上昇と、10月の1.8%上昇から減速した。

コアCPIが減速したことは、2日目を迎える連邦公開市場委員会(FOMC)の議題に上がる可能性が高い。一部の米連邦準備理事会(FRB)当局者は、ここ数カ月間みられた物価の抑制要因が一時的なものではないかもしれないと懸念している。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「物価上昇が経済の発展に重要だと考えているFRB当局者にとり、今回のCPI統計は支援要因となるものではなかった」と指摘。ただ12日発表された卸売物価指数(PPI)は広範の項目にわたり値上がりし、いくぶん安心材料となったとみられる。

FRBが物価の目安として注目する個人消費支出(PCE)物価のコア指数は、目標とする2%を5年半近く下回り続けている。ただFRBはこの日、利上げすると見込まれている。労働市場が引き締まり景気が良くなる中、当局者はいずれ物価の上昇圧力が増すとみている。FRBは今年2度利上げしており、2018年は3回利上げする見通しを示している。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)の首席米国エコノミスト、ジム・オサリバン氏は、今回のCPI統計について「今回のFOMCで利上げを断念するほど弱くはない」と指摘。ただ「FOMC声明のトーンのタカ派的な傾向は弱まる可能性がある」との見方を示した。

11月の前月比の内訳は、ガソリンが7.3%上昇し、10月の2.4%下落からプラスへ転じた。食品は2カ月連続で横ばいだった。賃貸家賃は2カ月連続で0.3%上昇した。帰属家賃は0.2%上昇。10月は0.3%上昇していた。医療サービスは0.1%下落。うち診察費は0.8%下落した。衣料は1.3%の値下がり。1998年9月以来の大幅下落だった。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中