コラム

防衛費増額と増税...「適切に管理」では済まない、見落とされた問題点とは?

2023年01月11日(水)11時57分

今回の防衛費増額問題については、主権者である国民に十分な説明が行われていないとの指摘が出ている。民主主義の原則としてあってはならないことだが、財源の確保という点でも、その指摘は当てはまる。

政府は今後5年間で、スタンド・オフ防衛能力(敵の射程圏外から攻撃する能力)や新たな装備品の確保などに10兆円以上を支出するとしている。一方、閣議決定された「防衛力整備計画」では、後年度負担について「各年度において適切に管理する」との記述にとどまっている。

今後5年間に結ぶ契約でも、それ以降の支出を束縛する可能性がある以上、後年度負担がどの程度になるのかについて、もっとオープンに議論すべきだろう。後年度負担の比率が高いようであれば、6年目以降についても、現段階から恒久財源について検討する必要がある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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