コラム

「財政出動で需要を拡大しろ!」では、日本経済は救えない...単純な需給ギャップ議論を卒業しよう

2023年05月24日(水)11時51分

最悪の場合は不景気と物価高の併存も

最悪の場合、マクロ的には需給ギャップがマイナスで消費が伸びない状態であっても、一部の業種では供給制限から需要を取り込めなくなり、不景気と物価高が併存する状態に陥ってしまう。

経済というのは需要と供給のバランスが取れて初めて成立するものである。日本はバブル崩壊以降、ずっと供給面での問題を抱えており、これがゼロ成長の大きな要因となってきた。

最悪の事態を回避するには、単純な需給ギャップの議論を卒業し、企業のビジネスモデルを高付加価値なものに転換するなど、経済の仕組みそのものを変えていく構造的な施策に目を向ける必要がある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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