コラム

「黒人男性の3人に1人は刑務所」という問題/Get carried away(調子に乗る)

2016年09月29日(木)11時37分

【今週のTED Talk動画】We need to talk about an injustice
http://www.ted.com/talks/bryan_stevenson_we_need_to_talk_about_an...

登壇者:ブライアン・スティーブンソン

 ブライアン・スティーブンソン氏は公益のために活動してきた弁護士で、貧しい人や死刑囚を主に弁護している。このTEDトークで彼は、アメリカの刑事司法制度の問題点を指摘している――それは、収監される人々の間に人種に大きな偏りがあり、アメリカの黒人男性の3分の1が刑務所に入ったことがあるという問題である。彼によれば、お金を持っているかどうか、そして肌の色が何色かによって、司法制度における扱いが異なるそうだ。

【参考記事】相次ぐ黒人男性の殺害、どうしたら偏見を乗り越えられるか/Double down on(~に倍の力を入れる)

 アメリカで人種問題がニュースになっている現在、これはタイムリーなテーマだと言える。だがそれだけでなく、スティーブンソン氏の物語を語る優れた能力によって、このTEDトークは彼の祖母、著名な人権活動家のローザ・パークス、そしてある裁判所で働く管理人といった人物を生き生きと描き、観客を引きつけるトークとなっている。

キーフレーズ解説

Get carried away
調子に乗る
(動画22:44より)

 この表現は文字通りの意味では、波などにさらわれることを指します。例えば、The boat was carried away by the floodwaters.(洪水によって船がさらわれた)という具合です。比喩的には、人間が何かの感情や考えによってさらわれるという意味で使われます。調子に乗る、悪乗りする、興奮する、夢中になる、などの日本語に相当すると言え、何かをオーバーして自己コントロールを失ってしまうというニュアンスを含んでいます。スティーブンソン氏によると、アメリカ人が懲罰の話に悪乗りしてしまった結果、現在の状況になったそうです。

 ここでいくつか使用例を紹介します:

●I was planning to write a magazine article, but I got carried away and ended up writing a book.
(雑誌記事を書くつもりでしたが、調子に乗って結局本を書いてしまいました)

●He got carried away by the excitement of the auction and spent more money than he planned.
(競売の興奮に乗って、彼は予定していたより多くのお金を使いました)

●The tennis player got carried away when she won the match and started to cry.
(勝負に勝つと、そのテニス選手は感情に圧倒されて泣き出しました)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏貿易黒字、2月は前月の2倍に拡大 輸出が回

ビジネス

UBS、主要2部門の四半期純金利収入見通し引き上げ

ビジネス

英賃金上昇率の鈍化続く、12─2月は前年比6.0%

ビジネス

日産、EV生産にギガキャスト27年度導入 銅不要モ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 5

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 6

    キャサリン妃は最高のお手本...すでに「完璧なカーテ…

  • 7

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 8

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 9

    中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題.…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 4

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 5

    ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシ…

  • 6

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 7

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 8

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 9

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 10

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story