最新記事

テクノロジー

【2016年注目の動き】自動運転車と配車サービス、小型ドローン、VR

2016年1月5日(火)17時00分
三国大洋(オンラインニュース編集者)

 いっぽう、ウーバーは中国進出にあたって検索大手のバイドゥと手を組んでいる。バイドゥは中国国内をカバーする地図データを有し、また3Dマップ技術も開発。バイドゥのこの技術にアクセスするために同社と組んだとされるBMWは、ノキアからHEREという地図事業を買った独大手自動車メーカー3社のひとつでもあるが、自動運転車に関していまのところドライバー(人間)の存在を前提とするBMWと、人間のドライバーなどないに超したことはないウーバーとは究極的に利害が相反する。そうした点からこの3社の間でどういった協力あるいは棲み分けがなされるのかなども注目したいところだ。

 ちなみに2014年の世界の自動車販売台数は小型車だけで約8900万台で、そのうち中国が年間2350万台、米国が1670万台というデータがある。この2つの市場を合わせるとそれだけで全体の4割を超える計算だが、それぞれの市場で急速に存在感を増す配車サービスが長期的に自動車メーカーの売上にどういう影響を及ぼすことになるのか・・・この疑問に対する答えの手がかりはあいにくまだ目にしていない。

 なお、上記の配車サービス4社には米・中・露・インド・アラブなど世界中から資金が流れ込んでいて非常に興味深いが、これについては改めて整理してみたい。

 今回のCESでは、GMのCEOに加えて、ディーゼル車の排ガス問題で注目を集めるVWのCEOも基調講演を予定。また個人的には、トヨタが展示予告を出していた「クラウドソース式地図データ収集技術」の中味や、以前に紹介したファラデイ・フューチャー(中国LeTV創業者が支援する米EVベンチャー)がどんなプロトタイプを発表してくるかも気になるところ。

 米国では今年カリフォルニア州で自動運転車の行動実験が一斉に始まる予定もあり、それに関連する話題が多く報じられることになる可能性も高い。さらに同州の規制当局(DMV)がルール作成に向けてパブリックコメントの収集やタウンホールミーティング開催も予定している自動運転車利用のガイドラインもその後に影響を及ぼすことになるかもしれない。

(2)小型ドローン

 米国では昨年のクリスマス商戦期に数十万台のホビー用ドローンが販売されそうとの見通しが出ていた。まだ実数は明らかにされていないようだが、連邦政府からユーザー登録が義務づけられたので、早晩実数が明らかになると思われる。そうした普及を土台として、今年はどういった新たな活用方法がみつかるか、といった点に注目が集まりそうだ。

 まず一般向け製品については、すでに日本でも製品が手に入る中国DJIの存在感が大きい。同社は、新たに農業向けのドローンを中国などで発売する計画も昨年暮れに明らかにしていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中