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都会で育つ植物が季節を勘違いする理由

2016年7月27日(水)16時10分
マット・ミラー

 ただし気候変動と違って、光害には明らかな解決策があり、すぐに取り組むことができるはずだ。イタリアのある研究によると、光を上向きや外向きではなく下向きに照らす器具や、光の波長が短い高性能の電球を使うと、植物への影響を軽減できることが分かっている。

 ヨーロッパ大陸の85%が光害の影響を受けているとみられるが、対策を取ろうという機運は高まっていないのが現実だ。照明に関する各国の規制も、強制力が弱いか、適用地域が限られている。

【参考記事】ゲリラ豪雨を育てるミクロの粒子

 スロベニア共和国は07年に画期的な規制を導入し、一定の成果を挙げている。しかし、首都リュブリャナにあるサッカースタジアムについて、FIFAが照明不足を理由に国際規格の認定を取り消すとちらつかせた際は、政府が規制を緩和した。

 アメリカで光害について何らかの規制を導入しているのは、わずか18州。その多くは地方自治体の指針にすぎない。

 生態系を揺るがす問題を前に、明快で簡単な解決策があるにもかかわらず、人間は努力を惜しんでいる。

© 2016, Slate

[2016年7月26日号掲載]

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