最新記事

少子高齢化

2050年の「超高齢化」日本に必要な意識改革

2016年8月23日(火)15時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

BraunS-iStock.

<今から34年後、日本は高齢者、非就業者に人口が偏る「逆ピラミッド型」の超高齢化社会を迎える。そこで求められるのは、これまでの規範にとらわれずに、高齢者や女性の就労を推進する社会変革だ>

 先日、2015年に実施された「国勢調査」の速報集計結果が公表された。それによると現在の日本の人口は1億2711万人で、年少人口(15歳未満)の比率は12.7%、高齢人口(65歳以上)の比率は26.7%となっている。今の日本では、子どもよりも高齢者のほうが多い。

 日本で最初の「国勢調査」が実施された1920(大正9)年には、年少人口は36.5%、高齢人口は5.3%だった。およそ100年前の人口は、下が厚く上が細い「ピラミッド型」だったが、現在は中高年層の部分が膨らんだ「つぼ型」になっている。

【参考記事】投票率が低い若者の意見は、日本の政治に反映されない

 これは少子高齢化が進んだためだが、今後この傾向はますます進行し、2050年の人口ピラミッドは政府統計によって<図1>のようになると予測されている。

maita160823-chart01.jpg

 つぼ型を通り越して、下が薄く上が厚い「逆ピラミッド型」になっている。年少人口は1割強にまで減り、高齢人口が4割近くを占める。まさに少子高齢化が極限まで進んだ社会で、グラフにしてみると大変にインパクトがある。

 社会は構成する人々が働くことによって成り立つが、今の就業率が変わらないとすると、「就業者2:非就業者3」の比率になる。現在ではちょうど半々くらいだが、近未来では働かない人(非就業者)のほうが多くなる。

 これはあくまでも現在の状況を未来に当てはめた場合の予測で、未来社会では高齢者の就業率は高まるだろうし、外国人労働者(移民)や、おそらくはAIロボットの参入も見込める。事態はまた違ったものになるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ビジネス

アングル:米ダウ一時4万ドル台、3万ドルから3年半

ワールド

北朝鮮、東岸沖へ短距離ミサイルを複数発発射=韓国軍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中