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チーズ×牛革で100%スイスメイド ワンオフ腕時計のこだわりとは?

2017年3月3日(金)17時24分
笠木恵司 ※Pen Onlineより転載

気になる価格は108万1291スイスフラン。スイスが建国された1291年8月1日に由来するそうです。世界で1本のユニークピースとはいえ、日本円で約1億2300万円と超高価。ただし、次のような注釈が付いています。

「売上金は現在困難な経済情勢とアジアへのアウトソーシングで苦しんでいる独立系のスイス時計製造サプライヤーを支援する基金の創設のために全額使用されます」

このあたりから、どうやら深い意味が隠されていると分かりますよね。
実は2017年1月1日から「SWISS MADE」と表示できる基準が強化されました。これまでは「製造コストの50%がスイス国内で支払われること」でしたが、それが60%に引き上げられたのです。しかしながら、H.モーザーはすでに95%以上を達成しており、この基準でSWISS MADEとして扱われることに懸念をもちました。そこで、今後はあえてSWISS MADEと表記しないことを決定。それを効果的にアピールすることを目的として、スイス特産のチーズをケースにした時計を開発したそうです。ストラップにしても、クロコダイルやアリゲーターでは輸入品になってしまうので、あえて牛の革にしているのです。

(参考記事:自社製・新キャリバー搭載の流麗なドレスウォッチ

かくてSWISS MADEとはどこにも表記されていませんが、ムーブメントからベルトに至るまで100%すべてがスイスメイド。ちなみにH.モーザーは、機械式時計の調速機構の要となるヒゲゼンマイを自社生産。他社にも毎年約10万本を供給しているそうです。こうした実績を背景として、SWISS MADEの基準に対する同社の考え方をアイロニカルに表現した時計といえるでしょう。

このユニークピースはあまりにも高価格ですが、ケースをチーズ製でなく18Kホワイトゴールドにした同型の「ベンチャー スイス マッド Ref.2327-0208」も発表されています。こちらは世界限定50本で225万円(税抜き予価)。やはり「フュメダイヤル」の鮮やかで繊細な深紅のカラーが魅力です。

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裏側はシースルーバック。手巻きの自社製ムーブメントを搭載。パワーリザーブインジケーター付き。プレートにはモーザーストライプという独特の縞模様が施されている。


H.モーザー スイス マッドウォッチ Ref.8327-1400

シンプル・ベーシックな2針モデル(時、分)。ケースはチーズを約50%配合した機能性素材「ITR2」。ムーブメントは手巻き、パワーリザーブは約3日間。ケース径41.0mm、厚さ9.4mm。スイスの国旗を模したレッドの「フュメダイヤル」。世界限定1本。価格は108万1921スイスフラン(スイスが建国された1291年8月1日に由来。約1億2300万円)。この売上金は、独立系のスイス時計製造サプライヤーを支援する基金創設に全額使用されるという。
問い合わせ先/イースト・ジャパン TEL:03-3833-9602


※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。

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