最新記事

北朝鮮

中国、絶体絶命か?――米議会までが中国に北への圧力強化を要求

2017年4月4日(火)18時18分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

中国が協力しないならアメリカが単独で行動する

それならトランプ大統領が「中国が協力しないなら、アメリカが単独で行動する」と言ったことに対して、中国はどう考えているのか。

4月4日現在で、中国政府の正式見解はまだ出されていない。一つには、いま中国は清明節で4月2日から4日までが連休のせいもあり、5日になれば中国外交部あたりが何かしらの声明を出すかもしれないが、ともかくこれに関して中国政府関係者を個人的に単独取材してみた。

彼はあくまでも個人の見解だとして、以下のように回答した(以下、Qは遠藤、Aは中国政府関係者である)。

Q:トランプが、「もし中国が解決しようとしないのなら、アメリカが単独でやる」と言ったが、どう思うか?

A:中国は対話で解決しようとしているが、アメリカが戦争を仕掛けているだけだ。

Q:トランプが言った「それならアメリカが単独で行動する」というのは「アメリカが単独で武力攻撃をする」という意味だ。アメリカが本当に北朝鮮を武力攻撃した場合、中国はどうするか?

A:トランプは「一つの中国」を否定する発言をしたかと思ったら、すぐに取り消した。彼の言うことは当てにならない。どうせ、言葉だけだ。威嚇に過ぎない。

Q:それでも万一、本当にアメリカが戦争を始めたら、中国はどう出るか?

A:その場合は中露が連携する。アメリカがTHAADを韓国に配備したことによって事態が変わった。中露軍を近づけた。先月末、中露両軍はジュネーブで軍縮会議が開かれたときに共同でブリーフィングを発表した。

Q
:ということは北朝鮮側に付くということになるのか?

A:結果的に、そういうことになる。THAADを配備したことで、アメリカはすでに中露に宣戦布告したも同然だ。レーダーで中国だけでなくロシアの軍事配備も丸見えとなる。従って、アメリカがさらに一歩武力的行動を進めれば、第二の朝鮮戦争になるだろう。それは第三次世界大戦を招く可能性だって否定できない。それ以前に、そもそもアメリカは国防費増強の予算案さえ通っていないではないか!トランプはアメリカファーストで当選したのに、またもや戦争を始めるとなると、アメリカ国民が賛同しないだろう。国連の安保理常任理事会に諮れば、中露が確実に反対する。もっとも、韓国がどう出るか(アメリカに賛同するか否か)は、新しい大統領が当選してみないと分からない、という要素だってある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、31万人に学生ローン免除 美術学校

ワールド

米名門UCLAでパレスチナ支持派と親イスラエル派衝

ビジネス

英シェル、中国の電力市場から撤退 高収益事業に注力

ワールド

中国大型連休、根強い節約志向 初日は移動急増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 8

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 9

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 10

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中