最新記事

ロシアの切り札

最凶な露フーリガン対策でロシアが用意した切り札とは...?

2017年5月26日(金)18時30分
松丸さとみ

VICE News Tonight on HBO-Youtube

<世界最凶として名高いロシアのフーリガン。その対策として、ロシア側が用意したのは......またヤツだった>

来年夏に行われる第21回サッカー・ワールドカップ(W杯)で、開催国ロシアのフーリガンが恐れられている。特に昨年の欧州選手権でロシアと対戦しスタジアムが大荒れとなったイングランドのサポーターは、今からすでに戦々恐々だ。しかしロシアには、そんなイングランド・ファンたちのために用意した切り札があるらしい。

世界最強? 露フーリガン

少し古い話になるが、2002年の日韓W杯開催を前にして、「外国にはフーリガンという凶暴なサッカー・ファンがいるらしい」とか、「フーリガンが大勢来日して大暴れしたらどうしよう」という不安が当時囁かれ、メディアでも取り上げられていたのを覚えているだろうか。結果的には、日韓W杯では(少なくとも日本では)フーリガンが問題になることはなかったが、世界的には、大きな大会にはフーリガンが自分のチームを応援しようと国をまたいで大移動するのはよく見られる光景だ。

2016年に行われたUEFA EURO2016(欧州選手権)では、ロシアのフーリガンが開催地のフランス、マルセイユに大挙して訪れ、対戦相手のイングランド・チームと大乱闘になった事件があった。当時テレグラフは、このフーリガンたちはトレーニングを重ねた精鋭150人で、わざわざイングランドとの試合を狙ってロシアから飛行機に乗って喧嘩をしにやって来たと伝えていた。

今年4月28日付のニューヨーク・タイムズは、ロシアのフーリガンがいかに屈強で凶暴かを伝えていた。同記事は、1990年代に生まれたロシアのフーリガンが、さまざまあるフーリガンの中でも、イングランドのそれを手本として発展したとしている。しかし今や、「父」と仰ぐイングランドのフーリガンを追い越し、独自の道を進んでいるらしい。ヨーロッパ式の「ビールに酔っ払っての殴り合い」や、南米式の「まるで民兵のような暴力」を特徴とするフーリガンとは異なり、ロシアの彼らは少なくとも喧嘩中は酒に酔うことなく、体を鍛え上げた軍隊のようなフーリガンだというのだ。


前述のテレグラフは、ロシアのサッカー世界ランキングは29位(当時の話で、今年5月現在はFIFA公式ページによると61位)だが、フーリガンでは世界1位を争うレベル、としている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

出光、6.5%・700億円上限に自社株買い 全株消

ビジネス

シャープ、堺ディスプレイプロダクト堺工場の生産を停

ビジネス

ソニーG、9月30日時点の株主に株式5分割 上限2

ビジネス

ソニーGの今期、5.5%の営業増益見通し 市場予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中