最新記事

イスラム教

コンピューターゲームがイスラム憎悪を拡散?

2017年8月9日(水)17時20分
コナー・ギャフィー

ゲームの中でイスラム教徒が悪役になるケースは多い Patrick T. Fallon-Bloomberg/GETTY IMAGES

<ひどいイスラム差別か、単なる被害妄想か......。トルコが「有害ゲーム」の取り締まりを始めたが>

トルコ政府が外国のコンピューターゲームにかみ付いた。意図的に恐怖と憎悪をまき散らしているというのが理由だ。

コンピューターゲームの愛好者は、トルコにも大勢いる。その数は約2500万人で、1日当たりのプレー時間は延べ3900万時間に上ると、青年スポーツ省のフゼイフェ・ユルマズ教育・文化・研究委員長は国会で述べたという。

しかしユルマズによれば、多くのゲームには「有害な内容」が含まれている。性的なものや暴力的なもの、そしてイスラム教やイスラム教徒への恐怖と憎悪を拡散する内容のことだ。

このようなゲームの国内での販売を制限すべきだと、ユルマズは主張している。「兵士役のプレーヤーがイスラム教徒のテロリストを殺すと点数が入る。そうしたゲームの最大の目的は、イスラムへの憎悪を生み出すことにある」と、ユルマズは述べたという。

【参考記事】「共謀罪法」がイスラモフォビアを生まないか

トルコ政府のウェブサイトには、潜在的に反イスラム的な内容を含んでいるとして19のゲームが名指しされている。世界で2億5000万本以上売り上げた『コール・オブ・デューティ』シリーズのいくつかのゲームもリストに載っている。

例えば、『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア2』では、預言者ムハンマドの言葉を記したアラビア語の文字がトイレに掲げられている場面があると、青年スポーツ省は指摘している。制作元のアクティビジョン社は改訂版をリリースし、その文字を取り除いた。

ほかにやり玉に挙げられたゲームには、『ギターヒーロー3 レジェンド・オブ・ロック』がある。青年スポーツ省によれば、ステージの床に、アッラー(神)というアラビア語が記されていて、キャラクターがその上で飛んだり跳ねたりするようになっているという。

「このおぞましい行為は、イスラムを侮辱する画像がゲームに意図的に組み込まれている証拠と言える」と、青年スポーツ省はウェブサイトで批判している。制作元アクティビジョンは、本稿執筆時までに取材に返答していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:ウォルマートの強気業績見通し、米消費の底

ビジネス

中国不動産投資、1─4月は前年比9.8%減 減少ペ

ビジネス

中国新築住宅価格、4月は前月比-0.6% 9年超ぶ

ワールド

ポーランドのトゥスク首相に脅迫、スロバキア首相暗殺
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中