最新記事

減量法

ダイエットは「お休み」が大事! 単なるカロリー制限よりも効果的な減量法とは

2017年10月3日(火)19時00分
松丸さとみ

evgenyatamanenko-iStock

<「国際肥満ジャーナル」に発表された研究で、食事制限は2週間ごとに「休憩」を挟んだ方が、早く体重を落とすことができ、落ちた体重も維持しやすいことがわかった>

「飢餓反応」を避けるために

減量のためのダイエット(食事制限)と言えば、食べたいものを食べられなかったり、お腹いっぱい食べられなかったりする状態が続き、つらいものだ。しかしそんなにつらい思いをしてまで食事制限をしない方が、減量にはむしろ効果的だということが、このほど「国際肥満ジャーナル」に発表された研究で明らかになった。サイエンス・デイリーが伝えた。

食事制限は2週間ごとに「休憩」を挟んだ方が、そのままずっと続けるよりも早く体重を落とすことができ、落ちた体重も維持しやすいことがわかったのだ。

「ダイエット中は朝食などを抜いたりせず、むしろしっかり食べた方がいい」という話を聞いたことがないだろうか。今回明らかになった「2週間の休憩を入れた方が効果的」という話も、同じ考え方だ。つまり、「体が飢餓状態になるため、かえって体が脂肪をため込もうとしてしまう」というものだ。

「ずっと食事制限」VS「2週間おき」で差は8キロ

研究を行ったのは、オーストラリアのタスマニア大学保健科学部のヌーラ・バーン教授率いるチーム。実験に参加した51人の肥満男性を2つのグループに分け、摂取カロリーを3分の1に抑えたダイエットを16週間行った。1つのグループは16週間、ずっと食事制限を続けた。もう1つのグループは、食事制限を2週間行った後、2週間は食事制限せずに体重を安定させるだけの食事を行った。このサイクルを残りの30週間続けて、食事制限する週が合計で16週間となるようにした。

この結果、2週間の休憩を挟んだグループは、体重の減少幅が他方のグループに比べ50%大きかった。それだけでなく、実験期間が終了して半年後の時点で、どちらのグループも体重がいくらか戻ったものの、2週間の休憩を挟んだグループは、他方グループよりも平均で約8キロ体重が少なかった。

バーン教授は、ダイエットで摂取カロリーが減ると、安静時代謝が予想外に減少してしまうと説明。減量のスピードが遅くなったり、むしろ体重が増えてしまったりするのはこのためだという。これは、もともと食べ物が豊富になかった大昔に、人間が種として生き残るために必要だった「飢餓反応」だと、バーン教授は説明した。

これまでの研究では、ダイエットが続くほど減量が難しくなっていくことが分かっていたが、今回の研究では、「飢餓反応」を抑え、減量しやすくなる方法について分析したという。

バーン教授は、今回の実験で取り入れた「休憩」が、減量成功において非常に重要なようだ、と語っている。ただし、同じ休憩を入れるものでも、数日おきに断食とドカ食いを繰り返すようなものは、継続的な食事制限より効果があるとは思えない、と注意を促している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中