最新記事

中国共産党

習近平の政治思想、共産党規約入りへ 毛沢東・鄧小平と並ぶ権威に

2017年10月19日(木)17時29分

10月19日、中国最高指導部である共産党政治局常務委員会(7人で構成)の複数の委員が、習近平総書記(国家主席、写真中央)が18日に開幕した党大会の活動報告で示した政治思想を相次いで称賛した。写真は共産党大会で18日撮影(2017年 ロイター/Aly Song)

中国最高指導部である共産党政治局常務委員会(7人で構成)の複数の委員が、習近平総書記(国家主席)が18日に開幕した党大会の活動報告で示した政治思想を相次いで称賛した。習氏が党の最高規則に当たる党規約に自身の指導理念を盛り込み、権力基盤を強化することが示唆された。

習氏は18日、党大会開幕に当たって活動報告を行い、共産党の揺るぎない指導の下で世界に開かれた「新しい時代」に向けて「現代の社会主義国」を築くと表明した。

今回の党大会では、習氏が自身の名前を党規約に盛り込めるかが同氏の権力掌握度合いを測る上で主要な注目点となっている。習氏の名前が盛り込まれれば、「毛沢東思想」や「鄧小平理論」として盛り込まれている過去の指導者と並ぶ権威を得たことが示唆される。

国営新華社によると、いずれも政治局常務委員である張徳江、兪正声、劉雲山の3氏は「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」とたたえた。

新華社によると、張氏は18日に開かれた党大会に伴う会議で「この思想は中国共産党第19回全国代表大会の最大の注目点であり、党の発展に対する歴史的な貢献だ」と述べた。

別の会議では、兪氏が同思想を中国の社会主義の「理論体系」における重要な構成要素と指摘したほか、劉氏も「この思想を党の指導思想として確立する」ことが重要だと述べた。

習氏の前任である胡錦濤前総書記、および2代前の江沢民元総書記の指導思想はそれぞれ党規約に盛り込まれているものの、胡、江両氏の名前は明記されていない。

習氏は2012年に総書記に就任して以来、反腐敗運動や軍改革などを通じ、権力基盤を急速に強化。既に、毛沢東以来、最も強大な権力を持つ中国指導者と広くみなされている。

共産党の指導機関に当たる中央委員会はこのほど、党規約改正案を承認したものの、詳細な改正内容は明らかにされていない。

党内で「核心」指導者の称号を1年前に得た習氏は、活動報告で中国の長期的な発展目標を設定。2035年までには「基本的に」現代化した社会主義国を構築し、50年までには世界で指導的な影響力を持つ現代化した社会主義「強国」を目指すとした。

[北京 19日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア貿易黒字、4月は35.6億ドル 予想上

ワールド

韓国大統領、ウクライナ支援継続表明 平和サミット出

ビジネス

エーザイ、内藤景介氏が代表執行役専務に昇格 35歳

ビジネス

シャオミ、中国8位の新興EVメーカーに 初モデル好
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中