最新記事

フード

秋の味覚キノコでアンチエイジングを

2017年12月6日(水)17時10分
カスタリア・メドラノ

抗酸化力トップは「キノコの王様」ポルチーニ VitalSSSS/iStock.

<研究者も注目する小さなキノコの脅威のパワー>

食欲の秋。おいしいものを食べたいけれど年齢的にそろそろ食事にも気を使わないと......。

そんなあなたにおすすめなのがキノコだ。最新の研究によれば、キノコはおいしいだけでなく、老化防止にも効果があるようだ。

米ペンシルベニア州立大学の研究チームは、13種類のキノコについて、アンチエイジングに効果があるとされる抗酸化物質エルゴチオネインとグルタチオンの含有量を調べた。その結果、ダントツのトップは高級食材として知られるポルチーニ。

普通のマッシュルームの含有量はキノコの中では少ないほうだが、それでも他の食品より多いことが分かった。おまけに、キノコ類に含まれる抗酸化成分は熱に強く、加熱調理しても壊れにくいという。

「食べた物を体内で酸化してエネルギーをつくり出す際に、副産物として大量のフリーラジカルが発生する。その多くが非常に有害だという説がある」と、同大学のロバート・ビールマン名誉教授は言う。

フリーラジカルとは、普通なら2個で一対をなして安定している電子が1つしかない分子のこと。そのため不安定で反応しやすく、安定するために他の分子から電子を奪い取ろうとして細胞にダメージを与え、老化を加速させる。スキンケア用品のCMでもおなじみの言葉だ。

ビールマンによれば、「人体にはフリーラジカルによる酸化作用のほとんどを抗酸化物質などの抗酸化作用でコントロールする機能がある」。だがそのバランスが崩れると「酸化作用の蓄積が細胞を傷つけ、それが癌や冠動脈性心疾患、アルツハイマー病の多くに関連しているとみられている」という。

本格的な検証や研究はこれからだが、ビールマンによれば、エルゴチオネインの含有量の豊富な食事をしているフランスやイタリアなどではパーキンソン病やアルツハイマー病といった神経変性疾患のリスクが低い。一方、エルゴチオネインの含有量が少ない食事をしているアメリカなどではリスクが高い。

食事からの抗酸化物質の摂取量が多い国と少ない国の差は1日平均約3ミリグラム、マッシュルームなら5個分だ。おいしくてヘルシーで、おまけにコスパもいいのだから食べなきゃ損だ。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!

気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを

ウイークデーの朝にお届けします。

ご登録(無料)はこちらから=>>

[2017年12月 5日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、24─26年原油輸出価格見通しを65ドルに

ワールド

豪CPI、第1四半期は前期比+1.0% 予想上回る

ビジネス

米ロッキード、1─3月業績が予想超え 地政学リスク

ワールド

原油先物は上昇、米原油在庫が予想外に減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中