最新記事

アメリカ大統領

中国はトランプ大統領就任1周年を、どう見ているか?

2018年1月22日(月)08時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


概ね以上だが、全体として「それに比べて中国は......」という言葉が滲み出ており、また一方では、民族の差別や国防予算などに関しては、「それ、中国が言える話なのかな?」という疑問を抱かせるものが少なくない。

新華網など

中国政府の通信社「新華通信社」の電子版「新華網」は1月20日、「トランプ、米大統領就任一周年」という短い記事付きの写真を18枚ほど掲載している。ほぼCCTVと類似の内容だが、CCTVで言わなかった要素としては、「どんな通知簿が出たのだろうか?」として、「アメリカ・ファースト」は「アメリカを再び偉大にすることができるのだろうか?」という疑問を投げかけている。

少なくとも、「アメリカが、いかにわがままで身勝手であるかに関しては、世界に明らかにさせてくれた」と分析している。

大統領の権限をいかにして発揮するかに関しては、自分が決めた政策を実施するという方向に動いただろうが、同時にアメリカの「分断者」としての役割を果たし、国内民意の対立を激化させたということができると批判している。

政府系メディアの「参考消息網」は「成果は非凡だったのか、それとも権威が地に落ちたのか?」という見出しで、新華網に出ているトランプ大統領の象徴的な写真に沿って説明を加えている。

また、「第二次世界大戦後、1年で支持率がここまで落ちた大統領はいない」として、支持率低迷を強調する報道も目立つ。

一周年目に米政府機能麻痺――喜ぶ中国

特に、日本(および中国)時間20日に米政府機関が一部閉鎖に追いやられた報道もある。

何よりも政府機関の一部閉鎖が、よほど「うれしい」らしい。

習近平国家主席の支持率を調査するなどという「背信行為」は中国には存在しない。それはほぼ、国家転覆罪的な犯罪として取締りの対象となるだろう。また、「つなぎ予算が期限を迎える」などという現象も、中国にはない。「閉鎖」の中国語として、「関門」という単語が中国のネット空間を踊った。

「なんと皮肉なことに、大統領就任1周年記念の日に関門」という環球時報系列の報道もあれば、「人民日報海外版」も喜びを隠さない。CCTVも同様だ。

それもそのはず。

1月18日付のコラム「バンクーバー外相会議に中国強烈な不満」に書いたように、中国としては、北朝鮮問題解決のための会議に中国を招聘しなかったアメリカに、憤懣やるかたないほどの憤りを覚えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中