最新記事

選挙

コンゴ新大統領にチセケディ氏就任 選挙不正の疑惑あれども政情不安化おそれ諸外国は承認

2019年1月25日(金)15時41分

コンゴ(旧ザイール)では、昨年12月の大統領選での勝利が確定した野党党首チセケディ氏(写真)が新大統領に就任した。1960年にベルギーから独立して以来初めての選挙による権力移譲となったが、不正に勝利を手に入れたとの批判がくすぶっている。首都のキンシャサで撮影(2019年 ロイター/Olivia Acland)

コンゴ(旧ザイール)では24日、昨年12月の大統領選での勝利が確定した野党党首チセケディ氏が新大統領に就任した。1960年にベルギーから独立して以来初めての選挙による権力移譲となったが、不正に勝利を手に入れたとの批判がくすぶっている。

チセケディ氏は就任式で支持者らに対し、「われわれは平和と治安の進展に主眼を置く強いコンゴの構築を望んでいる」と強調。「誰にでも居場所のある、全ての人のためのコンゴ」を目指すとした。

同氏は就任演説の途中で気分が悪くなり、一時中断。ただ、すぐに演壇に戻り、大統領選の疲れや就任日の興奮があったと説明。大統領報道官はその後、ロイターに対し、チセケディ氏が着ていた防弾チョッキがきつ過ぎたと説明した。

大統領選の野党候補だった石油会社元役員ファユル氏は、大統領選は自身が大差で勝利したにもかかわらず、チセケディ氏が前職のカビラ氏と裏取引を行い、不正に勝利を手に入れたと主張。カビラ、チセケディ両陣営は不正を否定している。

選挙で4万人の監視要員を動員した国内のカトリック教会による独自集計もファユル氏の勝利を示している。同氏は24日、ロイターに対し、チセケディ氏には絶対協力しないと表明。「彼は選ばれた大統領ではなく、カビラ氏に任命された大統領だ」と述べた。

ただ、同国の憲法裁判所がファユル氏の異議申し立てを棄却したことを受けて、アフリカと欧米の多くの諸国はコンゴが政情不安に再び陥ることを恐れ、チセケディ氏を大統領として認めている。

それでもなお、選挙結果を巡る疑念が残る中、この日の就任宣誓式に出席した外国の元首はケニアのウフル・ケニヤッタ大統領のみだった。

コンゴは1998─2003年の地域紛争の終結から15年以上経っても不安定な状態が続いている。これまではクーデターや暗殺、反乱軍による権力の掌握が続いていた同国だが、この日の就任式では前職のカビラ氏が大統領が身に付けるサッシュをチセケディ氏の体ににかけるという印象的な光景が見られた。

[キンシャサ 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中