最新記事

アメリカ政治

スタバ前CEOのシュルツに、大統領選出馬前から退場勧告

THE FATE OF INDEPENDENT CANDIDATES

2019年2月12日(火)17時15分
ジョシュア・スピバク(ニューヨーク州ワグナーカレッジ上級研究員)

無所属の独立系候補として出馬を検討中のシュルツだが Andrew Kelly-REUTERS

<二大政党に属さず大統領選に挑む「第3候補」は既に負けが確定していると、あの「先輩」も警告する>

コーヒー店チェーン、スターバックスのハワード・シュルツ前CEOが、2020年の米大統領選に無所属の独立系候補として出馬することを真剣に検討中――このニュースは、主に批判的な声を伴って報じられた。

16年の大統領選でドナルド・トランプが予想外の勝利を手にしたことで、億万長者たちが次はわれこそと思う気持ちも分からなくはない。だが最終的に大統領の座を得る者は、共和党か民主党という二大政党のどちらかに属していると相場が決まっている。20年11月に本選が行われる頃には、無所属候補シュルツのことなど記憶のかなたに追いやられているだろう。

もちろん過去には、最終的に第3候補が重要な、時に決定的な役割を果たしたこともあった。00年に緑の党から出馬した消費者運動家のラルフ・ネーダーは、民主党候補だったアル・ゴア副大統領のフロリダ州での敗北と、大統領選そのものの敗北に影響を与えたとみられている。16年の大統領選では、緑の党から出馬したジル・スタインが民主党候補のヒラリー・クリントンから票を奪い失速させたと言われる。それより前では、1992年にテキサス州の実業家ロス・ペローが無所属で出馬し、一般投票で19%を獲得、テキサスを牙城とするブッシュ大統領の再選を阻んだ。

盛り上がるのは最初だけ

しかしこれらの第3候補には、他の共通点もあった。大統領選で勝利することはおろか、本選ではただの1人も選挙人を獲得できなかったのだ。本選で選挙人を獲得できた第3候補を挙げるためには、公民権運動中の68年に出馬した元アラバマ州知事ジョージ・ウォレスにまでさかのぼらねばならない。 

現在の連邦議会で無所属の議員といえばバーニー・サンダースとアンガス・キングという2人の上院議員だけだが、この2人は民主党のお墨付きを得て当選した。二大政党の候補があまりに不人気な場合に第3候補が勝利することがごくまれにあったとしても、それは州や地方政府レベルに限られる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中