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スガノミクスは構造改革を目玉にせよ──安倍政権ブレーンが贈る3つのアドバイス

THE MAKING OF SUGANOMICS

2020年10月23日(金)17時15分
浜田宏一(元内閣官房参与、米エール大学名誉教授)

とりわけコロナ禍で世界的に需要が激減し、成長が鈍化している今は、大胆な財政出動が不可欠だ。よって菅への2つ目のアドバイスは「健全財政」なる時代遅れの概念を売り込む専門家を過信しないこと。

アベノミクスの最初の2本の矢が既存の生産能力の最大化を狙ったものなら、3本目の矢は潜在的な能力を引き出す構造改革だ。安倍政権は頑張ったものの抵抗勢力に押し切られ、この分野では大した成果を上げられなかった。イノベーションを妨げる時代遅れな規制が今も山ほど残っている。

自民党の派閥に属していない菅は、抵抗勢力に耳を貸さないだろう。しかも菅のブレーンは筋金入りの改革派ぞろいだ。

そこで最後に菅に3つ目のアドバイスを提供したい。構造改革と成長戦略に関してはぶれずに信念を貫くこと。未来の日本の繁栄のためには、今ここで構造改革を断行することが絶対条件だ。これを目玉に据えてスガノミクスを果断に進めてほしい。

KOICHI_HAMADA_profile.jpg[著者]浜田宏一 KOICHI HAMADA
経済学博士、米エール大学名誉教授。内閣府経済社会総合研究所長などを経て、安倍内閣で情報提供や助言を行う内閣官房参与を務めた。近著に『21世紀の経済政策』(講談社刊)。

©Project Syndicate

<2020年10月27日号掲載>

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