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中国

毎年ネットで「三峡ダム決壊!」がバズる理由

MUCH ADO ABOUT THE DAM

2020年10月26日(月)16時25分
高口康太(ジャーナリスト)

秀逸なゴシップは出所不明のままネットミーム(コピーされ拡散される画像や情報)として広がっていく。そして、ついには翻訳されて日本でも出回り、やはり中国はダメな国だと見下し、引き離された国力の差に気付かないようにする「麻酔」として使われているのだ。

怪しげな中国ニュースは全てウソ、中国共産党は透明性の高い政治を行っています......などと言うつもりはこれっぽっちもない。隠された情報は多いし、怪しげなニュースの中に本当の特ダネが眠っていることもあるだろう。

ただ、そうした可能性に固執するばかりでは見えてこないものもある。

例えば今年の水害だ。4000人超が死亡した1998年の水害に匹敵すると言われたが、9月頭の時点で死者・行方不明者数は271人とはるかに少ない。

ダムや堤防、都市排水といった治水インフラは洪水を防げなかったと批判されているが、被害規模は着実に縮小していることは注目に値する。また、日本のJアラートと同様の携帯メールによる避難勧告や警告も、人工知能(AI)で水害予測といった派手なソリューションではないものの、着実な効果があったと評価されているようだ。

「世界一のダムに決壊の危機が⁉」という強烈な見出しばかりに注目し、中国の着実な進歩を見逃す愚行を繰り返してはならない。

<2020年10月13日号「中国ダムは時限爆弾か」特集より>

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