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バイデンが対中トランプ関税を撤廃すべき3つの理由

DUMP TRUMP’S CHINA TARIFFS

2021年3月23日(火)18時00分
魏尚進(ウエイ・シャンチン、コロンビア大学経営大学院教授、元アジア開発銀行チーフエコノミスト)

対中関税の引き上げは、輸入先を中国から他国に変えただけで、アメリカの製造業を増やす結果にはつながらなかった。米国民の日々の暮らしにとって対中貿易収支はあまり重要ではないが、アメリカの貿易赤字(20年にはそれまでの12年間で最高額に達した)は、設備投資の額に対して国民貯蓄の割合が少ない現実を反映している。

国家安全保障上の理由から、貿易の対中依存を減らすべきだという見方もあるかもしれない。だが安全保障についてアメリカは他のどの国よりも多くの手段を持っているから、関税に頼る必要はない。しかも経済以外の目的で関税を利用することを禁じるWTO(世界貿易機関)の改革を支持することは、アメリカの国益にもかなう。

トランプ関税を撤廃することは、世界の貿易システムに対する信頼を回復させる上で極めて重要だ。

WTOの紛争処理小委員会は20年9月、アメリカが18年に導入した対中追加関税が国際的な規則に違反していると判断を下した。アメリカにはこれを不服として上訴する権利があるが、WTO上級委員会(紛争処理の最高裁に相当)はトランプ政権が新たな判事の承認を何度も拒否したことで定員割れとなり、機能不全に陥っている。バイデン政権は規則に基づく国際システムの強化を目指すと公言しており、WTOの判断を無視すれば政権に対する信頼性が損なわれる恐れがある。

トランプ関税が居座る期間が長引くほど、アメリカの低・中間所得世帯がその負担に耐えなければならない期間が長引くことになる。30年代のスムート・ホーリー法と同じく、トランプ関税の継続はバイデンが掲げる包括的な経済回復という目標の足を引っ張ることになるだろう。

©Project Syndicate

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