最新記事

核・ミサイル開発

北朝鮮、核・長距離ミサイル実験再開を警告「米国の敵視政策、危険なラインに達した」

2022年1月20日(木)10時00分
北朝鮮の国旗

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、同国が米国に対する防衛力を強化し、「一時的に停止された全ての活動の再開」を検討すると伝えた。写真は北朝鮮の旗。ジュネーブで2014年10月撮影(2022年 ロイター/Denis Balibouse)

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は20日、同国が米国に対する防衛力を強化し、「一時的に停止された全ての活動の再開」を検討すると伝えた。核爆弾と長距離ミサイルの実験を自粛していることに言及しているとみられる。

金正恩朝鮮労働党総書記は、米国の敵視政策への対抗措置を含む「当面の仕事と重要な政策課題を討議し決定する」ため、19日に党政治局会議を招集した。

KCNAは米韓合同軍事演習や周辺地域における米最新鋭戦略兵器の配備、米国および国連の制裁を引き合いに出し、「米国の敵視政策と軍事的脅威は、緊張緩和に向けた全般的な潮流を維持するためのわれわれの誠実な努力にもかかわらず、これ以上見過ごすことのできない危険なラインに達している」としている。

政治局は「一段と強力な物理的手段を直ちに強化」するよう求めつつ、「われわれが自発的かつ優先的に行った信頼醸成措置」を再考し、「一時的に停止された全ての活動を再開する問題を速やかに検討する」ことを命じたという。

KCNAは「米国の帝国主義者との長期的対立に備え、より徹底した準備を行うべき」とした。

米国務省とホワイトハウスは現時点でコメント要請に返答していない。

正恩氏は2019年末にも、非核化交渉再開に向けた歩み寄りの求めに米国が応じなかったことを受け、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験の停止にとらわれる根拠はもはやなくなったと発言していた。政治局会議による今回の決定はさらに一歩踏み込んだ対応とみられる。

米シンクタンク、ウィルソン・センター(ワシントン)のジーン・リー研究員は「戦争のような雰囲気をつくることを狙った揺さぶりが一段と増えるだろう。挑発のための実験もさらに実施される可能性がある」とし、「正恩氏は追加の兵器実験を正当化するあらゆる機会を利用するだろう」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・『イカゲーム』の悪夢が世界をここまで虜にする理由
・地面に信号! 斜め上を行く韓国の「スマホゾンビ」対策が話題に
・韓国、保守に政権交代なら核兵器を配備する方針...米国は「関心なし」と専門家


20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中