最新記事

エプスタイン事件

未成年性的虐待の富豪の仲間が獄死、英アンドルー王子と関係か

Epstein Associate Brunel Found Dead in Jail After Prince Andrew Settles

2022年2月21日(月)16時45分
ナタリー・コラロッシ

エプスタインの写真を指差し、少女売春斡旋等の容疑を説明するNY連邦検事(2019) Shannon Stapleton-REUTERS

<少女売春斡旋等の罪に問われた億万長者ジェフリー・エプスタインの仲間が拘置所で死亡した。数日前には、エプスタインと親交があった英アンドルー王子の性的虐待疑惑の裁判が多額の支払いで和解したばかりだった>

未成年者の強姦と人身売買の罪で起訴、捜査されていたフランスの元モデル斡旋業者ジャン・リュック・ブルネルが、パリの留置場で死亡しているのが発見された。彼はアメリカの大富豪ジェフリー・エプスタインに未成年の少女を性的搾取目的で提供していたとみられている。

パリ検察当局の発表によれば、ブルネル(75歳)は、現地時間の19日午前1時半頃、ラ・サンテ刑務所の独房で、シーツで首を吊った状態で発見された。正確な死因は調査中だが、初期報告では自殺とされている。

長年、エプスタインの仲間であったブルネルは、15歳以上の未成年者に対する強姦と性的虐待の罪で2020年に起訴され、公判前勾留されていた。死亡直前は、未成年や若い女性を性的に搾取するエプスタインの売春ネットワークの一員として、未成年の少女をスカウトしていたという容疑についても取り調べも受けていた。

ブルネルの死の数日前、未成年買春組織をエプスタイン事件で別の重要な展開があった。エプスタインのネットワークの犠牲者だったバージニア・ジュフレに対する性的暴行で訴えられていた英エリザベス女王の次男、アンドルー王子が2月15日に和解に応じたのだ。ジュフレは17歳だった2001年当時にアンドルー王子から性的虐待を受けたとして、アメリカの裁判所に推定1000万ドルの損害賠償訴訟を起こしていた。

富豪に少女を調達

裁判資料によると、ジュフレは、エプスタインは「何度も」ブルネルに自分を売ったと非難。ブルネルはヨーロッパの未成年の少女にモデルの仕事のためと偽ってアメリカに連れて行き、エプスタインとその仲間に「貸し出し」たと主張している。

「ジャン・リュック・ブルネルは東欧から多くの女性を調達したと思う」と、ジュフレは2015年の最初の証言で語った。ガーディアン紙によれば、ジュフレはエプスタインが1000人以上の「ブルネル・ガールズ」と寝たと自慢していた、とも証言している。

ブルネルは何人もの有名モデルから性的暴行や強姦で訴えられている。だがアンドルー王子とともに、ブルネルは無実を主張し、エプスタインとの違法な関わりを否定してきた。

ブルネルの弁護団は19日、彼の自殺の原因は「罪の意識ではなく、深い不公平感だ」と述べた。

「司法とマスコミのリンチで打ちのめされた75歳の男性として、ブルネルは苦悩していたのであり、私たちはそこを問題にすべきだ。自分は女性を虐待したことはない、と依頼人は断言した。彼はそれを証明するために何度も努力した」と、弁護団は記者団に語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スロバキアのフィツォ首相、銃撃で腹部負傷 政府は暗

ビジネス

米CPI、4月は前月比+0.3%・前年比+3.4%

ワールド

米大統領選、バイデン氏とトランプ氏の支持拮抗 第3

ビジネス

大手3銀の今期純利益3.3兆円、最高益更新へ 資金
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中