最新記事

中国

習近平が党大会で語っていた不穏な未来

What Xi Reported

2022年10月24日(月)11時55分
シャノン・ティエジー(ディプロマット誌編集長)
習近平

第20回共産党大会の初日に過去5年間の活動報告をする習近平党総書記(10月16日、北京) XINHUA/AFLO

<中国が低成長期に入ったことを認めながらも、深刻な経済問題への対処法は不透明。3期目続投となった習が発表した活動報告を、5つのポイントで読み解く>

5年に1度開かれる中国共産党の党大会。20回目の今回は、習近平(シー・チンピン)総書記(国家首席)が異例の3期目就任を決める場として、大きな注目を集めてきた。

だがまずは、この5年間の実績を党員に説明しなくてはいけない。

だから党大会の初日、習は北京の人民大会堂の大舞台で、活動報告を読み上げた。トップ続投を狙っているだけあって、そこからにじみ出るメッセージは継続性だ。

中国を取り巻く環境は厳しさを増しているが、経済も外交もこれまでどおりのアプローチを粛々と続けるというのだ。

中国だけでなく、世界は「過去100年来経験したことのないほどの大きな変化」を経験していると、習は語った。だが、中国共産党は困難を乗り越えて「歴史的勝利」を収めたという。

2021年の党創立100周年記念式典で強調したように、人民の生活に一定の余裕がある「小康社会」が達成され、極端な貧困は追放されたというのだ。

そして今、党は新たな「中心的任務」に取り掛かるという。「第2の100年目標である、あらゆる面で強力な社会主義現代化国家を建設し、それにより中国の現代化を全面的に推進し、中華民族の偉大なる復興を図る」のだ。

ここでいう100年とは、中華人民共和国の建国から100年間の目標という意味だ。

つまり期限は2049年だが、習はこれを前倒しして、2035年までに「基本的な」目標を達成すると宣言した。

13年後の予測はひとまず置いておくことにして、ここでは習の活動報告から、今後の短期的な方向性を示唆する5つのポイントを紹介しよう。

【1】ゼロコロナ政策は続く

習は自らが進めてきたコロナ対策を自賛した。「コロナ対策と経済・社会の発展の連携で重大な成果がもたらされた」とまで語った。

中国のゼロコロナ政策へのこだわりは、習の人格と密接に結び付いているため、今後も維持されるだろう。

それでも、本当にその適切性に自信があるなら、この政策がもたらしたダメージに触れてもよかったのではないか。公共の利益のために払われた犠牲があった、など遠回しの言い方もできただろう。

だが実際には、経済にとってよかったとだけ言及された。ゼロコロナ政策を変更するべき理由はない、というわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導

ワールド

再送-バイデン政権の対中関税引き上げ不十分、拡大す

ワールド

ジョージア議会、「スパイ法案」採択 大統領拒否権も

ビジネス

米ホーム・デポ、売上高が予想以上に減少 高額商品が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中