最新記事
中東情勢

イスラエルの上にヒズボラの大型ロケット弾「ブルカン」の雨が降る?

Hezbollah Targets Israel With 'Volcano' Rockets as Tensions Soar

2023年11月6日(月)15時52分
トーマス・キカ
ヒズボラの攻撃を受けたイスラエルの軍事施設

ヒズボラの攻撃を受けたイスラエルの軍事施設とされる動画より(11月4日)  Islamic Resistance/Telegram/REUTERS

<レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが遂に、ロケット弾でイスラエルを攻撃した。軍事力でハマスを圧倒的に上回ると言われるヒズボラが遂に本格参戦を決めたのか>

レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは11月4日、「ブルカン(アラビア語で『火山』)と呼ばれるロケット弾でイスラエルを攻撃した。イスラエルはイスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区への攻撃を続けているが、北にあるレバノンとの国境地帯でも緊張が高まっている。

<動画>ヒズボラの最強ロケット弾「ブルカン」の実力

AP通信は4日、イスラエルがレバノン国境で空爆を行う一方で、ヒズボラもイスラエルの軍事施設に対し数回の攻撃を行ったと報じた。このうち一方の軍事施設には、2基のブルカンが撃ち込まれたという。ブルカンは射程は短いが大型(火薬約400キロ)の弾頭を搭載している。市街地に対する破壊力は大きい。

今回の攻撃の応酬は、10月7日にハマスがイスラエルに侵攻して約1400人を殺害したのを発端に、イスラエルとハマスが武力衝突を続ける中で起きた。APによれば、イスラエルの反撃によりガザ地区では9000人を超えるパレスチナ人が死亡した。ハマスとヒズボラは同盟関係にあるとみられており、どちらもアメリカ政府からテロ組織に指定されている。

ロケット弾動画は本物か

ブルカンによる攻撃の前日、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララは、レバノンとイスラエルとの国境地帯においてイスラエルに対する前例のない水準の攻撃を行っていると主張するとともに、「いつでも」紛争を拡大する用意があると述べた。

4日のヒズボラによるロケット弾攻撃とみられる動画が地元メディアやソーシャルメディアで出回っている。X(旧ツイッター)では、攻撃により大きな爆発が起き、煙が立ち上る動画が話題だ。これは当初、ヒズボラの攻撃の映像として投稿されたが、イスラエルによるものだとの主張も出て議論となっている。本誌はどちらの主張が正しいか確認できていない。

イスラエル軍にコメントを求めたところ、同軍の広報部門は「北部国境にどんな事態の推移にも(対応する)態勢は整っている」とだけ述べた。

ヒズボラの広報部門にも電子メールでコメントを求めたが回答は得られていない。

3日、ナスララは先月7日のハマスのイスラエル攻撃以降初めてカメラの前に姿を現し、中東における紛争の拡大を食い止めようとしているアメリカに警告する内容の演説を行った。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中