最新記事
米軍

ヨルダン米軍基地への無人機攻撃で3人死亡は「米軍側の戦略的ミス」

Military Expert: US Troops Killed in Jordan Were Vulnerable to Attack

2024年1月29日(月)17時44分
ゲイブ・ウィズナント

今回のドローン攻撃で、基地の防空システムがなぜ迎撃に失敗したのか、まだわかっていない。

デービスは、攻撃のあった前哨基地「タワー22」の場所を指摘した。この前哨基地にいる米軍は、ヨルダンに対する助言・支援任務の一環として駐留していると伝えられている。

「このとても小さい基地は、砂漠のなかでシリアの基地を監視する位置にある。米軍部隊は、360度の防空システムがあるより大きな基地に移動させる必要がある」とデービスはネビルに語った。「軍隊を移動させるには時間がかかる。だからこそ、外交が重要だ」


27日のドローン攻撃の前に、米軍はイエメンの反政府武装組織フーシ派の拠点に対して空爆を行っている。親イラン民兵集団であるフーシ派は昨年11月以来、国際海運にとって有数の重要航路である紅海で商船への攻撃を繰り返しており、周辺で緊張が高まっている。また、ガザ地区では、イスラエルとイランに支援されたハマス過激派が戦闘を続けている。

ディフェンス・プライオリティーズの研究員ダニエル・デペトリスは、25日の本誌のオピニオン・コラムで、ガザとイエメンの紛争は関連していると書いている。

「大局的に見れば、アメリカとイギリスがその前提を受け入れるかどうかは関係ない。意見は重要ではない。本当に重要なのは現実だけだ。そして現実とは、フーシ派は昨年10月以来、ガザでの戦闘が続く限り、紅海での攻撃は続けるという長年の立場を維持しているということだ」と彼は書いている。

イランに対しては慎重に

戦略コミュニケーション会社サンダー11のマネージングパートナーであるダン・ペリーは最近、本誌のオピニオン・コラムで、紅海におけるフーシ派の行動を容認するなど「狂気の沙汰」だと述べた。

「確実ではないが、十分な火力があればフーシ派を撤退させることができるはずだ。それはまた、イランに対して、彼らの悪事には結果が伴うことを知らせる有益なシグナルにもなるだろう。特にドナルド・トランプ前大統領の愚かな核合意からの離脱は、イラン政府を核平気まであと一歩のところに立たせているのだから、イラン自体を攻撃する危険を冒すよりはましだ」と彼は書いている。

AP通信によると、サウスカロライナ州を旅行中にバプテスト教会の宴会場に登場したバイデンは、黙祷を求めた。

「昨夜は中東で大変なことが起きた。基地のひとつが攻撃され、3人の勇敢な魂を失った」とバイデンは言い、黙祷の後、こう付け加えた。「われわれはこれに対応する」

28日のフォックス・ニュース・ライブのインタビューで、デービスは、アメリカに対し、この地域の軍隊を戦略的に再配置することに加え、報復の可能性、特にイランに対する報復について「明確かつ冷静に」考えるよう促した。

「誰もがイランを攻撃したがっているが、これ以上事態を悪化させないために、私たちは感情的にならず、明確に考えなければならない。誰がやったにせよ、見つけ出す必要があるが、この部隊の弱点も取り除く必要がある。この戦争が拡大することはアメリカの利益にならない。誰も必要としない戦争で、多くの命が失われることは避けなければならない」。

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産の今期営業益予想5.5%増、為替変動や生産性改

ワールド

プーチン氏「戦略部隊は常に戦闘準備態勢」、対独戦勝

ワールド

マレーシア中銀、金利据え置き インフレリスクや通貨

ワールド

中国軍艦、カンボジアなど寄港へ 米国は警戒強める可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中