最新記事
北朝鮮

世界の笑い者、米軍の最強ドローンをパクった北朝鮮の新型ドローンがドキュメンタリーに

Kim Jong Un inspects North Korea's US Air Force drone clones

2024年1月18日(木)16時36分
アーディル・ブラール
米軍のグローバルホークにそっくりの北朝鮮製ドローンを視察する金正恩

米軍のグローバルホークにそっくりの北朝鮮製ドローンを視察する金正恩(北朝鮮ドキュメンタリーからのキャプチャ画像) KCTV

<北朝鮮の新型ドローンは、米空軍が誇る「グローバルホーク」や「リーパー」に外見が酷似している。設計情報はどこからきたのか、またその性能は>

北朝鮮で放送された新しいドキュメンタリー番組の中で、金正恩総書記が最新の新型ドローン2機を視察する様子が自慢げに紹介されたが、それがどちらも米空軍の有名なドローンと瓜二つで話題になっている。

【画像】北朝鮮が丸々パクった米軍の最強ドローン、本物と比べてみた


北朝鮮国営の朝鮮中央テレビ(KCTV)は1月15日、新型兵器に深い関心を示す最高指導者を放送した。狙撃用ライフルを試し撃ちしたり、装甲兵員輸送車を運転する姿もある。場所は明らかにされていないが、いずれも昨年の映像だという。

韓国がアメリカおよび日本と防衛協力を強化していることを受けて、北朝鮮はこの数カ月、韓国に対する敵対姿勢を強めている。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は15日、北朝鮮が極超音速弾頭を搭載した弾道ミサイルの発射実験を行い、成功したと報道した。北朝鮮が2023年に行ったミサイル発射の回数は、過去2番目に多かった。北朝鮮ウォッチャーたちは、2024年は金が実際の武力行使を通じて、緊張をエスカレートさせる可能性があると警告している。

イランから情報を得たか

KCTVとKCNAは、金による「新型ドローン」について直接言及していないが、これらのドローンは米空軍が保有する偵察ドローン、RQ-4グローバルホーク(米ノースロップ・グラマン社製)と最強の攻撃ドローン、MQ-9リーパー(米ジェネラル・アトミクス社製)に外見が酷似している。

北朝鮮の2機のドローンは、2023年7月に開かれた武装装備展示会と軍事パレードの場で初めてお披露目された。膨らんだ形の機体がグローバルホークにそっくりな「セッピョル4」は、グローバルホークと同じ偵察機。「セッピョル9」はリーパーと同じ攻撃ドローンだ。

英シンクタンク「国際戦略研究所」のジョセフ・デンプシー国防研究員は、2023年8月の分析の中で、「セッピョル」はアメリカのドローンとよく似てはいるものの、性能の点では劣る可能性が高いと指摘。それでもその外見からは、諜報収集や偵察の能力を強化したいという北朝鮮の願望が見て取れると述べた。

デンプシーは、北朝鮮とイランが防衛技術面で協力関係にあることから、イランが北朝鮮にグローバルホークに関する情報を提供した可能性が高いと推測する。イラン革命防衛隊は2019年、ホルムズ海峡上空で米軍のグローバルホークを撃墜している。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツの輸出、今年は停滞の見通し=商工会議所調査

ビジネス

三菱重の今期、最高益を見込む 市場予想には届かず

ワールド

焦点:「反白人感情」と対決誓うトランプ氏、支持者に

ワールド

インド与党が野党・イスラム批判の動画投稿、選管が削
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中