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選択的夫婦別姓を認められない日本の何が問題か
日本はいつまでも女性の力を活かせないまま(3月8日、性差別撤廃を求める東京のデモ) Issei Kato-REUTERS
<懐古趣味の保守派が他人の選択にまで反対し続ければ、少子化や介護など新しい家族の形を求める現実のニーズに追いつけないまま社会は疲弊する>
6月23日、夫婦別姓を認めない民法750条は婚姻の自由を定めた憲法に違反するとして青野慶久「サイボウズ」社長らが原告となって国に賠償を求めた憲法訴訟で、最高裁大法廷は2015年と同様、民法750条に対して合憲判断を下し、最高裁判所第1小法廷は24日に原告の上告を退けた。最高裁は、いつまでこの腰が重い態度を貫けるのか。家族のあり方は、まさにどんどん変わろうとしているのに、選択的夫婦別姓すら導入できないのはなぜなのか。批判が集まるのは当然だ。
今回の判決は2015年の最高裁判決を踏襲している。2015年判決には、夫婦同姓制の合理性として、「家族という一つの集団を構成する一員であることを,対外的に公示し,識別する機能」「嫡出子であることを示すため」「家族を構成する個人が,同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感すること」など、およそ非合理的な偏見ともいうべき価値観が盛り込まれていた。「嫡出子であることを示すため」という理由に至っては、言外に嫡出子の特権性を認めており、婚外子差別解消の動きに逆行する言明であるともいえる。もちろん判決の趣旨は、婚姻制度をどうするかは立法府に委ねるというものだとしても、司法府の側が具体的な例示において完全なる差別偏見に理解を示してしまったのは、極めて問題だといえるだろう。
四半世紀も前進なし
夫婦別姓制度は、1996年法制審議会の最終答申以来、およそ四半世紀に渡って国会で議論が続けられてきている。
選択的夫婦別姓制度の実現に最も近づいたのは、2009年に誕生した民主党政権だった。マニフェストの一つに組み込まれていた夫婦別姓制度は、福島瑞穂社民党党首の入閣もあり、近い将来立法されるだろうと考えられていた。しかし社民党と同じく連立パートナーだった国民新党の亀井静香金融大臣の強固な反対により、閣議決定することができなかったのだった。
選択的夫婦別姓制度の導入にずっと抵抗してきたのは、主に自民党であった。しかし2020年になって、橋本聖子男女共同参画相を中心に夫婦別姓を推進する議員が法制化に向けた動きを始めた。これについては野党議員も好印象であり、制度の実現に向けて前進したかにみえた。ところが党内保守勢力の頑健な抵抗にあい、第5次男女共同参画基本計画案では、「夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、家族の一体感、子どもへの影響も考慮」という、むしろ時代に逆行するような文言が盛り込まれた。
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