コラム

オキナワの現状を地政学で読み解く

2018年09月13日(木)16時00分

思いどおりにいかないハワイの情勢をめぐって、ワシントンの政界では盛んな議論が交わされた。その際、アメリカの偉大な軍事戦略家で海洋史家のアルフレッド・マハンは、後に米大統領に就任するセオドア・ルーズベルトに地政学的視点からこう助言した。「まず支配せよ。その後で(問題を)解決すればいい」と。

筆者の大学時代のルームメイトの父親は、米軍兵士として沖縄戦を戦った。私たちの父親世代にとって、沖縄とは恐怖と英雄的行為と勝利の地、第二次大戦という輝かしい歴史に押された刻印だった。だがルームメイトの父親は終戦から60年後に亡くなるまで、自分が沖縄で見たこと、したことを語ろうとはしなかった。

アメリカでは今、沖縄の名前を知る人は50人に1人に満たないだろう。しかし日米の戦略地政学専門家から見れば、米軍基地や地元の不満、国益をめぐる沖縄の問題の在り方は130年前のハワイと酷似している。沖縄が持つ意味は知事選だけにとどまらない。

本誌2018年9月18日号[最新号]掲載

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グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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