ニュース速報

NY市場サマリー(22日)

2019年03月23日(土)07時02分

[22日 ロイター] - <為替> ドルが安全通貨と見なされる円に対し下落した。米製造業購買担当者景気指数(PMI)が低調だったことに加え、米長短金利が逆転し、米国がリセッション(景気後退)入りするとの懸念が高まったことが背景。ただドイツの製造業PMIも低調だったことで、ドルは対ユーロでは上昇した。

マークイットが発表した3月の米製造業PMI速報値は前月比0.5ポイント低下の52.5と、2017年6月以来約2年ぶりの低水準になった。これを受け米債券市場では3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の利回りが07年以来、約12年ぶりに逆転した。

SEIインベストメンツ(ペンシルバニア州)のグローバル債券マネジメント部門責任者、ショーン・シムコ氏は、長短金利の逆転について「向こう1年から1年半の間に景気後退入りするシグナルだと深刻に受け止める必要がある」としている。

終盤の取引でドル/円は0.66%安の110.07円。円は対ドルで約6週間ぶりの高値を付けたことになるが、OANDA(トロント)のシニア外為アナリスト、アルフォンソ・エスパルサ氏は「円相場は安全資産への資金の逃避で回復した。日本経済の力強さが背景にあるわけではない」としている。

終盤の取引でユーロ/ドルは0.69%安。

今週は米連邦準備理事会(FRB)が20日まで2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内の利上げはないとの見通しを示すと同時に、バランスシート縮小を9月に終了することを決定。一段とハト派的な政策スタンスへの転換を鮮明にした。これを受けドルは圧迫されていた。

キャピタル・エコノミクスのグローバルエコノミスト、サイモン・マクアダム氏は「3月のPMI速報値を受け、世界の3大先進国で第1・四半期の成長が抑制されていることが改めて確認された」と指摘。ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツの外為戦略部門責任者、カール・シャモッタ氏は「数カ月前に市場で予想されていたよりも広範な減速に直面しているとの見方が裏付けられた」とし、「FRBは世界経済に対する一段と深刻なリスクに対応しているとの認識を改める結果となった」と述べた。

欧州連合(EU)首脳は前日、英離脱を巡り、英議会が離脱協定案を来週中に承認しなかった場合、4月12日まで離脱日を2週間延期することで合意。EUは英国が加盟国にとどまるためには5月23日に欧州議会選を実施する必要があるとしており、4月12日は法律で定められている通知期間である6週間前に当たる。

これを受け、これまで下落していた英ポンドは回復し、対ドルで0.74%高となった。

カナダドルは対米ドルで11日ぶりの安値に下落。2月の消費者物価指数(CPI)が2カ月連続でカナダ銀行(中央銀行)の目標を下回ったことなどが重しとなった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の利回りが2007年以来約12年ぶりに逆転した。予想を下回る製造業統計が材料となった。長短金利の逆転は景気後退(リセッション)入りの兆候ともみられ、景気後退の可能性も含め経済への失速懸念が強まった。

終盤の取引で3カ月物TB利回りは2.4527%。10年債利回りは2.4373%。

マークイットが発表した3月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.5と、2017年6月以来約2年ぶりの水準に落ち込んだほか、サービスPMIも54.8に低下し、ともに市場予想を下回った。

統計を受け10年債利回りは2.418%と2018年1月以来の水準に低下。2年債との利回り格差は9.5ベーシスポイント(bp)と3カ月ぶりの水準に縮小した。

欧州で発表された指標も弱さが目立った。3月のドイツの製造業PMI速報値は44.7と、判断の分かれ目となる50を3カ月連続で割り込み、12年8月以来の低水準にとどまった。これを受け独10年債券利回りは16年10月以来のマイナスとなった。

米連邦準備理事会(FRB)が今週の連邦公開市場委員会(FOMC)でハト派姿勢に急転換して以降、景気失速への懸念は強まりつつある。

BMOキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の米国金利ストラテジスト、ジョンヒル氏は「FRBのハト派姿勢や世界経済への懸念を背景に、市場は今後10年の平均金利が足元の水準を下回ると予想している」と指摘。FRBの経済モデルによると向こう1年の景気後退確率は35%程度にとどまっているが、向こう2年の確率はかなり高まっているとした上で、現在の景気局面が終了するのは時間の問題で、今後はFRBの政策対応が景気後退の後ずれや緩和につながるかが焦点になると述べた。

FRB当局者の金利見通しによると、再来年にかけて予想される利上げ回数は1回のみ。FRBは保有資産の縮小を9月に終了する方針も明らかにしている。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 急反落、主要3指数の下落率が1月3日以来の大きさとなった。米欧の製造業指標が弱く、米国の長短金利が逆転し、世界景気低迷への不安が強まった。

3月の米製造業活動指標が予想を下回ったほか、欧州や日本の指標もさえなかった。これを受けて、米国の3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の利回りが、2007年以来約12年ぶりに逆転した。長短金利の逆転は景気後退(リセッション)入りの兆候ともみられる。

エコノミック・アウトルック・グループの首席グローバルエコノミスト、バーナード・バウモル氏は「景気後退が迫っていると直ちに結論付けようとは思わない」とした上で、「地平線上に本物の雲が発生しつつある。問題はこれらの雲がどの程度暗くなり、景気後退の嵐を引き起こすかどうかだ」と語った。

S&P総合500種<.SPX>の主要11セクター中、公益事業<.SPLRCU>のほかはすべて下落した。

「恐怖指数」の異名を持つシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>の上げは2カ月ぶりの大きさとなった。

S&P総合500種、ダウ工業株30種<.DJI>、ナスダック総合<.IXIC>は週間でも下落した。

連邦準備理事会(FRB)は19─20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、成長ペースが鈍化する中、19年の想定利上げ回数をゼロとし、よりハト派的な政策スタンスへの転換を鮮明にした。

金利に敏感とされるS&P金融<.SPSY>は2.8%値下がりし、週間では昨年12月遅く以来の大幅安を記録した。

個別株では、スポーツ用品大手ナイキが6.6%安。第3・四半期(12─2月)決算は、北米売上高が予想を下回った。

米宝飾品大手ティファニーは3.1%高。好調なインターネット通販を背景に、19年度の売上高・利益見通しを堅持した。

米電気自動車(EV)大手テスラは約3%安。コーウェンが、セダン型量産車「モデル3」の米需要について、価格の安い新車種が第2・四半期に投入されるまで軟調と予想した。

米ボーイングは2.8%安。ガルーダ・インドネシア航空が、旅客機「737MAX8」型機49機の発注をキャンセルする方針と伝わった。金額の規模はカタログ価格ベースで60億ドル相当とみられる。

米動画配信サービス大手ネットフリックスは4.5%値下がりした。米アップルが25日、動画配信サービスの開始などについて発表すると予想されている。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.69対1の比率で上回った。ナスダックでも4.90対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は86億6000万株。直近20営業日の平均は77億1000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 世界的な景気先行き懸念が強まる中、安全資産とされる金が買われ、続伸した。中心限月4月物の清算値は前日比5.00ドル(0.38%)高の1オンス=1312.30ドル。

英調査会社IHSマークイットが発表した3月のドイツの製造業購買担当者景況指数(PMI)が記録的な低水準に落ち込んだほか、フランスの製造業PMIも予想を下回った。既に世界的な景気先行き不安が広がる中で欧州の景気減速懸念が強まったため、この日は欧州株安につれて米株相場が大幅反落。投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり、「質への逃避」買いが進んだ。

ただ、欧州圏内のPMI下落を背景に対ユーロでドル高が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品に割高感が生じたことから、金相場の上値は抑えられた。金塊現物相場は午後1時40分現在、6.150ドル高の1312.945ドル。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 世界景気の減速に伴うエネルギー需要の先細りを警戒した売りなどに続落した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値は、前日比0.94ドル(1.57%)安の1バレル=59.04ドル。週間では0.37%高となった。6月物は0.91ドル安の59.29ドル。

この日発表された3月のドイツとフランスの製造業購買担当者景況指数(PMI)がと もに市場予想を下回ったことをきっかけに、この日未明の外国為替市場ではドル買い・ユーロ売りが急速に進行。ドル建てで取引される原油先物は割高感に圧迫され、60ドル近辺の高値水準から大きく値を消した。加えて、朝方に発表された3月の米PMI(総合)速報値も予想以上に低下。米国内外の指標悪化を受け、米中貿易摩擦などを背景に世界経済が減速するとの見方がエネルギー商品需要の先細り懸念につながり、昼ごろには一時58.28ドルまで沈み込んだ。

ただ、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが午後に公表した統計では、同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数が前週比9基減の824基と5週連続のマイナスとなった。これを受け、米国内での生産拡大に対する警戒感が幾分和らいだため、相場はあと下げ幅を縮小した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 109.91/109.94

始値 110.45

高値 110.46

安値 109.75

ユーロ/ドル NY終値 1.1313/1.1315

始値 1.1308

高値 1.1316

安値 1.1274

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 102*16.00 2.8747%

前営業日終値 100*23.50 2.9630%

10年債(指標銘柄) 17時05分 101*20.50 2.4373%

前営業日終値 100*24.00 2.5390%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*20.00 2.2403%

前営業日終値 100*04.75 2.3430%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.88 2.3187%

前営業日終値 100*05.38 2.4100%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 25502.32 -460.19 -1.77 <.DJI>

前営業日終値 25962.51

ナスダック総合 7642.67 -196.29 -2.50 <.IXIC>

前営業日終値 7838.96

S&P総合500種 2800.71 -54.17 -1.90 <.SPX>

前営業日終値 2854.88

COMEX金 4月限 1312.3 +5.0 <0#GC:>

前営業日終値 1307.3

COMEX銀 5月限 1540.7 ‐3.0 <0#SI:>

前営業日終値 1543.7

北海ブレント 5月限 67.03 ‐0.83 <0#LCO:>

前営業日終値 67.86

米WTI先物 5月限 59.04 ‐0.94 <0#CL:>

前営業日終値 59.98

CRB商品指数 184.1548 ‐1.2189 <.TRCCRB>

前営業日終値 185.3737

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