ニュース速報

焦点:アジア企業の設備投資、中国減速で3年ぶりに減少へ 

2019年03月23日(土)10時57分

[ベンガルール 20日 ロイター] - 今年はアジア企業の設備投資が3年ぶりに減少しそうだ。中国経済の減速や貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感を背景に、企業はキャッシュを確保しようとしている。

リフィニティブのデータをロイターが分析したところによると、アジア企業2137社の今年の設備投資は平均4%増となり、前年実績の約8%を下回る見通し。増収率は3.3%で横ばいとなりそうだ。

マッコーリー・インベストメント・マネジメントのジョゼフ・デバイン最高投資責任者は、設備投資を抑える要因が複数あると指摘。「与信環境は引き締まり、ドルは上昇している。インドその他の市場では銀行の貸し出しサイクルがピークを迎えた可能性があり、中国の自動車需要は減速している」と話した。

中国の成長率は昨年、約30年ぶりの低水準に落ち込み、今年はさらに減速すると予想されている。政府が企業に過剰な債務を抱えないよう働きかけを続けている上、米国との貿易摩擦も未解決だからだ。

データによると、最も設備投資を渋るのは、不動産会社や政府のインフラ支出に依存する企業となりそうだ。ハイテク企業も、スマートフォンの世界需要が落ち込んでいるため、設備更新のための支出を抑えている。

工業用資材のサプライヤー企業の設備投資は前年比で7%、ハイテク企業は9%、それぞれ減少する見通し。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ギャレス・レザー氏は「電子機器の輸出は過去1年で急速に鈍化しており、設備投資の伸び率に反映されそうだ」と述べた。

一方、設備投資減少の裏返しとして、アジア企業のキャッシュフロー(中央値)は前年の1株当たり1.30ドルから今年は1.80ドルに増え、少なくとも5年ぶりの高水準となりそうだ。

(Patturaja Murugaboopathy記者 Gaurav Dogra記者)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ

ビジネス

ECB、賃金やサービスインフレを注視=シュナーベル
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中