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米金利、いずれの方向に動かす明確な論拠ない=ボストン連銀総裁
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は21日、インフレが低調な一方で労働市場は好調である現状により、連邦準備理事会(FRB)の政策目標がちぐはくになっているとの認識を示し、通商問題を巡るリスクを踏まえると、金利をいずれの方向に動かす「明確な」論拠はないとの考えを示した。
ローゼングレン総裁はニューヨークのエコノミッククラブで行った講演で、「低失業はやや引き締め的な金融政策、低インフレはその逆の金融政策が必要であることを示しており、FRBが担う2つの責務を巡る要素は、現時点では金融政策に関して相反するシグナルを発している」と述べた。
労働市場が引き締まった状態にあることを踏まえると、やや緩和的である金融政策で、一時的なものに過ぎない可能性があるインフレ低迷が改善する公算もあると指摘。ただ米中通商摩擦で経済成長が鈍化するか、物価が上昇する可能性があり、こうした状況下では金融政策の据え置きが理にかなうとし、「短期的に金融政策を変更する明確な理由は見当たらない。FRBは待てる」と述べた。
米中の関税措置の応酬については、インフレ率を目標に向けて引き上げる取り組みの加速要因になるとしながらも、消費縮小につながる可能性もあると指摘。まもなく10年目を迎える景気拡大の勢いに対するリスクになるとの見方を示した。ただ「現時点では米中は通商合意に向け交渉を継続すると楽観的にみている」とし、「不確実性は一時的なものであり、全般的な米経済見通しには大きな影響は及ばないと予測している」と述べた。
このほか、インフレがFRBの目標を下回っていることについて他のFRB当局者ほど懸念していないとも表明。「インフレが目標に届かない状態は一時的とみている。現時点での目標未達について、他のFRB当局者ほど懸念していない」と述べた。
また、FRBが政策を見直していることは政策変更があることを必ずしも意味しないと指摘。通商を巡る問題で一段と緩和的な金融政策が必要になるとは予想していないとも述べた。
FRBのバランスシートについては、正常化された状態に極めて近くなっているとの認識を示した。
ローゼングレン総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。
*内容を追加しました。