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ドイツ銀、受け皿機関への資産追加を検討=関係者

2019年09月20日(金)11時24分

[ニューヨーク 19日 ロイター] - ドイツ銀行は、キャピタル・リリース・ユニット(CRU)と呼ぶ「受け皿機関」内に現在保有している資産が売却できれば、数十億ユーロ規模の問題資産を追加的にこの機関に移管できないかどうか、上層部が検討中だ。3人の関係者が明らかにした。

関係者によると、ここ数週間で行われている協議はまだ予備的な段階ですぐに動くという話ではない。広報担当者も、CRUにさらに資産を移す計画はないと明言した。

それでも限られた予算で経営を立て直すという難題を抱える同行にとって、CRUへの資産追加は選択肢の1つになるという。

ドイツ銀は長期のデリバティブ取引などの問題資産が引き続きバランスシートに計上されており、それらを処分するには発生する公算が大きい損失を吸収するための資本増強が不可欠だ。しかし過去9年間で293億ユーロの増資を行っただけに、株主にこれ以上の出資を要請できる余地はない。問題資産を一段とCRUに移すことが話し合われているのは、こうした背景があるからだ。

ただ4年半余りで75%の株価下落に見舞われている株主にとっては、持ち直しが長い道のりになりそうな情勢を意味する。

ゼービング最高経営責任者(CEO)は今年7月、同行が償却や売却の対象とみなす740億ユーロのリスク性資産を移管するためにCRUを立ち上げた。これは不採算事業からの撤退を通じて1万8000人を削減する大リストラの一環だった。

もっとも一部のアナリストは、この計画がドイツ銀がバランスシートになお計上している問題資産の規模を完全に把握したものなのかどうか懐疑的な見方をしている。特に懸念を持っているのは、最も流動性が低く価値評価が難しい「レベル3」資産のエクスポージャーだ。

ビオラ・リスク・アドバイザーズのアナリスト、デービッド・ヘンドラー氏は「これは(資産の)部分的な処理にすぎない」と述べ、ドイツ銀のバランスシートにはまだ評価が困難な180億ユーロ相当の資産があり、その切り離しには何年もかかるだろうと付け加えた。

「ドイツ銀は(資産処理)進展の構図を描こうとしているが、相当な問題資産が残っている」という。

複数の関係者がロイターに語ったところでは、ドイツ銀はCRUに今ある資産のうち、株式デリバティブは今月中にも正式な売却入札を実施する方針だ。

この売却が成功すれば、CRUに新たな資産が移管される可能性がある、と先の3人の関係者は説明した。

ロイター
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