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米商務省、鉄鋼・アルミの輸入制限を提言

2018年02月19日(月)08時02分

2月16日、米商務省はトランプ大統領に対し、安全保障上の理由から鉄鋼とアルミニウムの輸入を大幅に制限するよう提言した。写真は2017年11月、ロス商務長官。ロンドンで撮影(2018年 ロイター/Mary Turner)

[ワシントン 16日 ロイター] - 米商務省は16日、トランプ大統領に対し、安全保障上の理由から鉄鋼とアルミニウムの輸入を大幅に制限するよう提言した。

商務省は通商拡大法232条に基づき安全保障上の見直しを実施。トランプ大統領は鉄鋼に関して4月11日まで、アルミニウムに関しては4月20日までに輸入制限を実施するか決定する。

鉄鋼については、1)すべての国からの輸入に対し少なくとも24%の関税をかける、2)ブラジル、中国、インド、ロシア、韓国など12カ国からの輸入に少なくとも53%の関税をかける、3)その他の国からの輸入には2017年の米国への輸出水準を上限とする割当制を導入する、との選択肢を提示した。

アルミニウムについては、1)すべての輸入に対し少なくとも7.7%の関税をかける、2)中国、香港、ロシア、ベネズエラ、ベトナムからの輸入に23.6%の関税をかける、3)その他の国からの輸入には17年の米国への輸出水準を上限とする割当制を導入する、との選択肢を提示した。

ロス商務長官は、こうした措置は米国の鉄鋼とアルミニウム産業の設備稼働率を80%近辺まで引き上げることを目標としているとし、稼働率がこの水準に達すれば両産業は「長期的な実現可能性」が得られるとした。

現在の設備稼働率は鉄鋼産業が76%、アルミニウム産業が48%となっている。

中国政府は、米商務省の提言には「根拠がなく」、事実にのっとっていないとして強く反発。中国の商務省は、通商保護措置の活用を自制し、多国間の通商ルールを尊重するよう米国に呼び掛けた上で「米国の最終的な決定が中国の利益を損なうものであれば、中国は自国の妥当な利益を保護するため必要な措置を講じざるを得ない」などと表明した。

ロス米商務長官は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など特定の諸国を輸入制限の対象から外すなどの可能性を含めて、最終的な決断はトランプ米大統領が下すと説明。「大統領は、商務省の提言を修正したり、もしくはまったく別の案を出す権限を持っている」と述べた。

16日の米株式市場では、鉄鋼とアルミ株が軒並み大幅に上昇した。USスチールが14.7%高で引けたほか、AKスチールは13.7%高、ニューコアは4.5%高でそれぞれ取引を終了。S&P1500鉄鋼株<.SPCOMSTEEL>は5.3%上昇した。

センチュリー・アルミニウムは8.3%上昇した。一方で、世界中で事業を展開しているアルコアは0.44%下げた。

米国の鉄鋼製造業者協会(SMA)のフィリップ・ベル代表は、商務省の輸入制限の提言を歓迎。世界的な過剰生産能力と、容赦ない鉄鋼輸入の問題に取り組む上で、「有意義かつ効果的」との見方を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
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