ニュース速報

ビジネス

米FRB、低金利維持に一段と強い確約必要=ミネアポリス連銀総裁

2020年09月19日(土)05時09分

米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は18日、連邦準備理事会(FRB)はコアインフレ率が約1年にわたり2%を維持するまで利上げは実施しないと確約し、米経済の完全な回復に向け一段と強いフォワードガイダンスを表明するべきだったとの考えを示した(2020年 ロイター/Shannon Stapleton)

[18日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は18日、連邦準備理事会(FRB)はコアインフレ率が約1年にわたり2%を維持するまで利上げは実施しないと確約し、米経済の完全な回復に向け一段と強いフォワードガイダンスを表明するべきだったとの考えを示した。

FRBは今週開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを決定すると同時に、インフレ率が2%の目標を超える軌道にあると判断するまで金利をゼロ付近に維持する方針を表明。カシュカリ総裁は、コアインフレ率が持続的に2%に達するまで、現行の目標レンジ維持を予想していると示すのが望ましいと主張し、決定に反対した。

カシュカリ総裁は反対した理由を説明する文書で、FRBの方針では完全雇用を達成する前に利上げを実施せざるを得なくなる状況に追い込まれる恐れがあると指摘。「FRBが担う2つの責務の達成が確証できるまで利上げは実施しないとする一段と強い確約を望んでいた」とした。

その上で、FRBは前回の景気後退(リセッション)で労働市場の状況を読み違え、結果として尚早な利上げを実施したことで景気回復が頓挫したとし、労働市場の状況を利上げと結び付けるべきではないと指摘。「コアインフレ率が2%台に乗せてから約1年間は利上げを実施しないことは、インフレ率の平均2%を実現するために若干の目標超えを容認する戦略と整合性が取れる」とした。

また、新たなガイダンスが以前から導入されていた場合、2015年12月のゼロ金利政策解除は2017年1月にずれ込んでいたと予想。それでも解除は尚早だったとの見方を示した。

15─16日のFOMCではカシュカリ総裁のほか、ダラス地区連銀のカプラン総裁も決定に反対。ただカプラン総裁は、新たな確約の下では利上げが必要になった際に柔軟性に欠けるとし、反対の理由はカシュカリ総裁と全く異なるものだった。

カシュカリ総裁は、米機関投資家協議会主催の会合で、政府の新型コロナウイルス経済対策について、「コロナ禍の影響を受けた人々に対する議会の大胆な支援に拍手を送るが、家計だけが助けられたわけではない。銀行もまた救済を受けた」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当

ビジネス

VWの米テネシー工場、組合結成を決定 南部で外資系

ワールド

北朝鮮が戦略巡航ミサイル、「超大型弾頭」試験 国営
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中