肥田 美佐子

NY発米国インサイト

キム・カーダシアンが「キモノ」を盗用!? 日本人女性の抗議で炎上

2019年06月27日(木)19時38分

    メットガラに登場したキム・カーダシアン。左は夫のカニエ・ウェスト(5月6日、NYのメトロポリタン美術館) Andrew Kelly-REUTERS

    <非難の的になったのは、これまでもたびたび他文化との摩擦を起こしてきたカーダシアンの「ファッション至上主義」。いったい何がどう悪かったのか>

    米国のタレント・実業家でリアリティ番組のスターとして知られるキム・カーダシアン氏(38)が、またもやバッシングを浴びている。6月25日にお披露目をした女性用シェイプウエア(矯正下着)ライン "Kimono"のネーミングが、「キモノ」をバカにした「カルチャー・アプロプリエーション(文化の盗用)」だというのだ。当該コミュニティーから受容や理解を得ることなく、ファッションなどのために他国や他民族の文化を流用することだ。

    日本人女性らがソーシャルメディアで不快感を表し、欧米メディアがそれを報じた。BBC(6月26日付)によると、カーダシアン氏は「キモノ」をブランド名として商標登録しているという。下着のブランド名に他国の伝統的な民族衣装の名称を付けるという良識のなさと無神経さが日系コミュニティーの感情を逆なでし、炎上を招いた。

    許されない一線

    同氏は一昨年、コスメブランド "KKW Beauty"を発表した際も、自身の顔色を黒めに加工した写真を宣伝広告に使用。「ブラックフェイス(顔を黒く塗ること)」的行為だと非難され、「ムーディーに見せるべく、より褐色にしただけだ」と釈明した前歴がある。言わずもがなブラックフェイスは黒人差別の象徴であり、米国ではタブー中のタブーだ。

    昨年10月には、フォックス・ニュースから巨額の契約金でNBCネットワークに引き抜かれたスター・アンカー、メーガン・ケリー氏(当時48)が自身の冠番組で、PC(政治的正当性)的観点からハロウィーンでの仮装ルールを厳しくする米大学の「コスチューム・ポリス」化が進んでいることを批判。「私の子供時代には、黒いメークでキャラクターに扮しても大丈夫だった」と失言し、番組開始から約1年で失脚している。

    翻ってカーダシアン氏は昨年6月にも、アフリカの女性を思わせる細かい三つ編み姿でイベントに登場し、問題になった。また、今年4月には、教会に行く際、インドで新婦が身に着ける宝石入りのヘッドピースを額に付けてひと騒動起こし、他国の文化に対する理解や配慮に欠けるファッション至上主義的姿勢が、たびたび非難の的になっている。

    プロフィール

    プロフィール

    肥田 美佐子

    (ひだ みさこ)ニューヨーク在住ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、『ニューズウィーク日本版』編集などを経て、単身渡米。米メディア系企業などに勤務後、2006年独立。米経済・雇用問題や米大統領選などを取材。ジョセフ・スティグリッツ、アルビン・ロスなどのノーベル賞受賞経済学者、「破壊的イノベーション」論のクレイトン・クリステンセン、ベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルやマイケル・ルイス、ビリオネアAI起業家のトーマス・M・シーベル、ジム・オニール元ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長など、米(欧)識者への取材多数。元『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』コラムニスト。『週刊東洋経済』『経済界』に連載中。『フォーブスジャパン』などにも寄稿。(mailto:info@misakohida.com

    本誌紹介

    特集:ルポ  武漢研究所のウソ

    本誌 最新号

    特集:ルポ 武漢研究所のウソ

    新型コロナウイルスの発生源と疑われる中国の研究機関は危険な感染実験を繰り返していた

    2021年6月22日号  6/15発売

    人気ランキング

    • 1

      将来の理数系能力を左右する「幼児期に習得させたい」5つのスキル

    • 2

      病院がICUを放棄? 無人の部屋に死体のみ、訪ねた親族が発見 インド

    • 3

      中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

    • 4

      カメラや望遠鏡が、紙のように薄くなる?光学素子が…

    • 5

      4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目…

    • 6

      新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

    • 7

      新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタ…

    • 8

      【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

    • 9

      誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に

    • 10

      ノーベル賞を受賞した科学者の私が、人生で後悔して…

    • 1

      4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

    • 2

      国際交流で日本にきた中国人200人に「裏切り者」のレッテル

    • 3

      デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウンゴールで五輪に失敗した」

    • 4

      EVシフトの盲点とは? トヨタが「水素車」に固執す…

    • 5

      将来の理数系能力を左右する「幼児期に習得させたい…

    • 6

      病院がICUを放棄? 無人の部屋に死体のみ、訪ねた親…

    • 7

      ノーベル賞を受賞した科学者の私が、人生で後悔して…

    • 8

      水深6000メートル超の超深海帯で死肉をたいらげる新…

    • 9

      アジアゾウの群れが大都市の目前に、警察など400人が…

    • 10

      山口香JOC理事「今回の五輪は危険でアンフェア(不公…

    • 1

      4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

    • 2

      脳が騙される! 白黒の映像が、目の錯覚でフルカラーに見える不思議な体験

    • 3

      国際交流で日本にきた中国人200人に「裏切り者」のレッテル

    • 4

      デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウン…

    • 5

      ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」…

    • 6

      東京オリンピックの前向きな中止を考えよ

    • 7

      武漢研究所は長年、危険なコロナウイルスの機能獲得…

    • 8

      閲覧ご注意:ネズミの波がオーストラリアの農地や町…

    • 9

      【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

    • 10

      ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護…

    もっと見る

    Picture Power

    レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

    【写真特集】ゲイの夫夫が手にした父権の肖像