コラム

元駐ウクライナ大使、大いに陰謀論を語る

2022年04月12日(火)18時00分

現実離れした分析ばかりが際立つ1冊

3人のうち2人は既に退陣し(さすがに安倍氏の病気による退陣、アメリカ大統領選の選挙結果まで国際金融資本が背景にある動きとは言わないと信じたい)、プーチンが自らの野心をウクライナ侵攻という形で実現させてしまった今となっては、著者の偏向したものの見方、現実離れした分析ばかりが際立つ1冊になってしまっている。

それにしても教授職にもあった著者は外交、そして安全保障について、何をどう教えていたのだろう。防衛大学校の学生は日本の安全保障を担う人材であり、教えなければいけないのは、世界標準の知だ。陰謀論に取りつかれていても、防大の学生たちに教えられるとするならば......。それは、ちょっとしたホラーではないだろうか。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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