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僕のイギリスの母校はなぜ教育格差を覆せたのか
今のイギリスでは、こんな一見したところ当たり障りのない見解を述べるだけで物議を醸してしまう。両親が結婚していないというだけで純真な子供たちに烙印を押しているではないか、(父親となる男性に捨てられて困難な状況下で精いっぱい頑張っている)シングルマザーに冷た過ぎるじゃないか、と非難されるだろう。虐待する父親やケンカばかりの両親のもとで育つより離婚した家庭で育つほうがずっと害は少ないと指摘する声もあるだろう。もちろん、これらもまた真実ではある。
僕が懸念するのは、貧困の世代間連鎖や、社会経済的地位上昇の機会の欠如について僕たちが社会として議論する一方で、主要な問題の1つを認めようとしていないということだ。僕個人の経験から、安定した家庭で育ち、他の安定した家庭の子供たちと共に教育を受けることは確実に、僕や、労働者階級家庭のアイルランド移民のクラスメイトたちの人生の可能性を広げたということを、僕は知っている。僕たちは両親が得た以上のものを勝ち取り、僕たちの学校と理論上はほとんど違わないはずの近隣校の生徒たちより格段に「上を行く」成績を収めることができた。
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2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか
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