コラム

新型コロナでは説明できない社会の地殻変動が始まった

2021年01月12日(火)17時30分

一方、人工知能(AI)の浸透は、ペスト後のヨーロッパで「領主」という中間者が消えたのと同様の効果、つまり個人と中央政府の直結関係を生む。例えばマイナンバーが普及すれば、国家は税の清算(確定)、給付金分配を効率よく実行できる。

これは中国やロシアでは統制強化に使われるが、欧米の企業や政府は余計なペーパーワークを減らし、社員や役人をもっとましな目的に使うだろう。

遺伝子工学の発達は、コロナワクチンの開発でも威力を発揮しているが、癌治療などが進歩すれば人間の寿命を大きく延ばし、社会の在り方を変える。

今の時代、コロナ禍やテレワークや5Gなどの言葉の魔術に踊らされてはならない。「それはナンボのものか」と言う関西人のように、真価、本質、底流を見極めていかないと、生きていけまい。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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