コラム

2024年、ウクライナ停戦で世界は変わるか

2024年01月12日(金)17時15分

ただ、西側はロシア制裁の大半は続ける。西側製航空機に依存するロシアの国内航空は、部品供給を絶たれて破綻の様相を強めている。国防費の膨張、政府補助金付きの住宅・消費者ローンの膨張は、インフレを激化させるだろう。

ウクライナ停戦で、アメリカは欧州から手を引くか? それはない。欧州という有力な同盟相手を欠いたら、アメリカは米州大陸に閉じ籠もる地域大国に転落するからだ。たとえトランプが大統領になって欧州からの米軍撤退を唱えても、米軍は面従腹背で対応するだろう。それは、2021年以前のアフガニスタンで起きたことだ。


日本政府は2月19日に東京で、「日ウクライナ経済復興推進会議」を計画している。「平和への日本の貢献」をアピールすることに異存はないが、能登半島地震からの復興も大事だ。そして日本が資金を出しても、日本企業が受注できるのかどうか。事はじっくり進めてほしい。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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