最新記事
シリーズ日本再発見

戦国忍者の痛みを体感、難し過ぎてファン急増中の最新ゲーム『SEKIRO』

Makinig It Real

2019年06月26日(水)16時20分
モ・モズチ

プレーヤーは手ごわい敵を相手に命懸けで刀を振るっている感覚を味わえる From Software/ACTIVISION

<今年の大ヒットゲームは、失敗を重ねつつスキルを高めていくのが醍醐味>

コンピューターゲームの世界では、刀での斬り合いがいとも簡単に感じられる。プレーヤーのスタミナは無尽蔵に近いし、刀は決して刃こぼれしない。

ニューヨークで剣術学校を運営している武道家のラーブ・ラシに言わせれば、現実はそうはいかない。「(ゲームや映画では)極度の恐怖で発狂したり、小便を漏らしたりといった要素は全く描かれない」

しかし、今年の大ヒットゲームは一味違う。戦いの難度を高めることで多くのファンを獲得しているのだ。

その作品とは『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE』。3月に発売されると、最初の10日間で200万本以上を売り上げた。クリエーターの宮崎英高は、これまでも刀で戦うゲームで評価されてきた人物だ。『DARK SOULS』シリーズは、史上有数のアクション・ロールプレイングゲームと言っても過言でない。

mage190626-game02.jpg

舞台は戦国時代末期の日本 From Software/ACTIVISION

『SEKIRO』の舞台は、戦国時代末期の日本。プレーヤーは、片腕の忍者を操作して戦いを繰り広げる。刀での斬り合いをリアルなものにしたかったと、宮崎は言う。「私たちは作品の世界を築く上で有効なファンタジーの要素を重んじるあまり、リアルさを軽んじがちだ。バランスを取るのは本当に難しい」

相手の体幹を崩す技術

このゲームの場合、プレーヤーが敵の攻撃を食らっていいのは数回だけ。スタミナにも限りがある。そのため、プレーヤーは失敗を重ねながらスキルを高めていくしかない。この点は、本物の剣術家たちと同じだ。

ほかのゲームに比べると、こうした過程はまどろっこしく感じられるかもしれない。それでも、お手軽でないからこそ、敵を倒したときの満足感が大きい。

「プレーヤーに当事者感覚を持たせたい。自分の代わりにキャラクターを動かして戦わせるというより、自分自身が力を振るって戦っているように感じさせたい」と、宮崎は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英インフレ低下を示す力強い証拠を確認=ベイリー中銀

ビジネス

IMF経済見通し、24年世界成長率3.2% 中東情

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック続落、金利の道筋見

ビジネス

NY外為市場=ドルが対円・ユーロで上昇、FRB議長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中