最新記事
シリーズ日本再発見

コロナ後の日本、ビジネスパーソンのための「新しい生活様式」案内

2020年07月13日(月)16時10分
西田嘉孝

また、新幹線などを利用した出張の機会も徐々に増えるだろうが、そうした出張時の新しいマナーにも気をつけたい。東海道新幹線を運行するJR東海は5月下旬頃から、マスク着用や乗客同士の距離の確保に加え、座席の回転を控えることを公式ツイッターなどで呼びかけている。

出張帰りに駅の売店でビールとつまみを購入し、「車内宴会」で盛り上がる。昔ながらの日本のビジネスパーソンのそんなお楽しみは、当面の間はおあずけになりそうだ。

時差ランチやほぼ無人接客、LINEを使った取り組みも

多くの人々が外食を自粛し、テイクアウトやデリバリーという中食が充実。そんな変化も新型コロナがもたらした大きなものだ。とはいえ、そもそもランチなどの外食は禁止されているわけではないし、そろそろ大手を振って飲み会だって開きたい。

東京都では事業者に向け、「できるだけ席と席の間隔を開ける」「大皿での提供は避けて、料理は個々に提供する」といった感染拡大防止ガイドラインを示し、すでに多くの飲食店がガイドラインに沿った形で営業を再開している。

ほかにも例えば、全国23店舗のステーキ店「デンバープレミアム」と13店舗の豚丼店「き久好」では、平日の開店~正午と14~17時の来店時に、会計が10%オフとなる密回避のための「時差ランチ」サービスを実施。

さらには、液晶モニターやスマートフォンによるモバイルオーダーで、入店から退店までのサービスをほぼ無人化した「KICHIRI新宿」のような、新しい生活様式に対応した新時代の居酒屋も登場している。

また、6月11日に開業した虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの「虎ノ門横丁」では、多くの人が利用するLINEによって、整理券での入場制限やモバイルオーダー、順番待ちができるサービスを導入した。

虎ノ門横丁では多店舗展開をしていない東京の名だたる飲食店が集うため、本来であれば行列必至。しかし混雑による入場制限時にLINEで発行される整理券や、順番待ちの番号札のおかげで、コロナ後に客足が戻っても混雑を回避することができる。

サービスを使うための準備は、LINEで虎ノ門横丁のアカウントを友だち追加するだけ。同アカウントではさらに、各店舗でのお持ち帰りメニューの検索から注文・決済までが完了でき、ユーザーは店舗への最短の滞在でスピーディーに料理を受け取ることが可能だ。

japan20200713newstyle-3.jpg

飲食店の入り口で検温――こうしたサービスがコロナ後の世界ではスタンダードになっていくのかもしれない(六本木ヒルズ)

フットプリントなどを活用「ヒルズみんなのルール」

「虎ノ門横丁でのLINEを使った施策だけでなく、すべての店舗や各施設では『ヒルズみんなのルール』を起点にした取り組みを行っています」

そう話すのは、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーなどを運営する森ビルの広報、落合有さん。落合さんの言う「ヒルズみんなのルール」とは、新型コロナの感染拡大防止のため、3密回避やソーシャルディスタンス確保のルールとして、街を運営・管理する森ビルがいち早く策定したもの。「安心・安全」などをテーマに、街を一体的に運営するタウンマネジメントによって都市を創り、育んできた同社らしい取り組みだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中