最新記事
シリーズ日本再発見

いま、エナジードリンク時代が日本に到来している

2021年03月17日(水)16時40分
西田嘉孝
エナジードリンク

「レッドブル」(真ん中)から始まったエナジードリンクは現在、国内外の各メーカーからさまざまな商品が出ている(左端は「モンスターエナジー」ブランドのゼロカロリー商品「アブソリュートリー ゼロ」) Newsweek Japan

<日本人の「もうひとがんばり」を支え、ここ数年で急速に拡大してきたエナジードリンク市場。ナンバーワンブランドの「モンスターエナジー」は、コロナ禍でも売り上げを伸ばしたという。そして「エネルギー」の人気はドリンクに限らない>

ある程度から上の世代であれば、「24時間、戦えますか」というインパクトのあるフレーズを覚えている人も多いだろう。

これは80年代の終わりから90年代初頭のバブル期に、テレビで繰り返し流れた栄養ドリンクのCMソング。当時はビジネスパーソンから受験生まで、疲れたときのエネルギー補給と言えば日本では栄養ドリンクが定番だった。

そんな栄養ドリンクに取って代わる存在として、いま急速に市場を拡大しているのがエナジードリンクだ。

マーケティングリサーチ会社インテージのレポートによると、2015年から2019年にかけ、エナジードリンク市場は約1.4倍に拡大。やや落ち込みを見せるドリンク剤(栄養ドリンク)に対して順調な伸びを見せており、その市場規模も459億円にまで拡大している。

また、販売ルートについても当初はコンビニエンスストアが中心だったが、現在はドラッグストアやスーパーマーケットにも進出。今や日本人の日常に完全に浸透したエナジードリンクの勢いは、今後もますます加速することが予想される。

「もうひとがんばり」にエナジードリンクを

そんなエナジードリンクが日本に初めて登場したのは2006年のこと。オーストリア生まれの「レッドブル」が発売されて大きな話題となり、その後の2012年にはアメリカから「モンスターエナジー」が上陸。現在はこの2強「黒船」メーカーを中心に、日本の各メーカーもエナジードリンク市場に参入している。

2019年には、先行していた「レッドブル」を逆転し、「モンスターエナジー」が国内のエナジードリンク市場でナンバーワンのシェアを獲得した。人気の理由は何だろうか。

同製品を販売するモンスターエナジージャパンの広報担当によると、「まず、ライフスタイルブランドとして20代を中心とした若い世代に受け入れられたのが大きい」とのこと。「また、モンスターエナジーには果汁系やゼロカロリーなどの多種多様なフレーバーがあり、それが幅広い世代の支持にもつながっています」

現在はコロナ禍で街の人出が減少している。主にコンビニなどで売られるエナジードリンクは大きな打撃を受けていそうだが、ヘビーユーザーの多いモンスターエナジーの国内市場は昨年も順調に成長したという。

「ゼロシュガー、ゼロカロリーの商品などはビジネスパーソンの方にもおすすめ。最近はジムなどでワークアウトを行う前にモンスターエナジーを飲むという新しいオケージョンも注目を集めています」(同社広報)

インテージのレポートによると、エナジードリンクが飲まれる時間帯は「昼食後、休憩中に」「午後、一息つくときに」などが多く、飲みたい気分や状態では「身体的に疲れたとき」や「これからがんばりたいとき」が多くなっている。

また、エナジードリンクや栄養ドリンクと同様のシチュエーションで、日本人に選ばれているのがゼリー系飲料だ。

インテージの調査によると、2014年から2018年までの5年間でその販売金額は53%アップ。トップシェアを誇る森永製菓の「inゼリー」を筆頭に、こちらも各社がバラエティ豊かな商品を展開している。

japan20210317energydrink-pic2.jpg

森永製菓の「inゼリー」がトップシェアを誇るゼリー系飲料のカテゴリーでも、「エネルギー」は人気のようだ Newsweek Japan

筆者の場合も外出することが多かったコロナ禍以前には、ゆっくりと食事をとる時間がないタイミングでのスピーディなエネルギーチャージに、こうしたゼリー系飲料に頼ることが多かった。

筆者が「inゼリー」シリーズの数あるラインナップから選んでいたのは、決まってスタンダードな「エネルギー」(マスカット味)だ。

他にも「ビタミン」や「ミネラル」、「プロテイン」や「ストロング」など、さまざまな目的とシチュエーションで選べるフレーバーが展開されているが、主要ECサイトなどでのゼリー系飲料の人気ランキングを見ても、やはり「エネルギー」の人気は高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中