Picture Power

【写真特集】原爆はまだ歴史になっていない 広島・長崎被爆者の「沈黙の痛み」

THE YEAR 1945

Photographs by HARUKA SAKAGUCHI

2019年08月06日(火)11時05分

pp190806theyear1945-10b.jpg

森川聖詩(63)
広島出身の被爆2世。幼少の頃から胃腸が弱く病気がちで、けがをすると傷口がなかなか治らなかった。就職や結婚では差別も受けた。

pp190806theyear1945-11b.jpg

荒川クミ子(92)
20歳の時に長崎で被爆。原爆で両親と兄弟4人が亡くなり、弟を1人で育てることとなった。被爆後の記憶があまりない。

pp190806theyear1945-12b.jpg

八木道子(78)
6歳の時に長崎で被爆。被爆後、食べるものがなく、母と一緒に近くの農家へ行き、母の着物の代わりにさつまいもを分けてもらえないかと聞くが断られた。そのとき見上げた母の悲しそうな顔は、今でも印象に残っている。

pp190806theyear1945-13b.jpg

松本シゲ子(77)
防空壕の前で兄妹と遊んでいるときに被爆し、壕の奥へと吹き飛ばされた。その後、大勢の負傷者が防空壕に入ってきて、祖父が見つけてくれるまで、3日間閉じ込められた状態だった。800メートル圏内で被爆したということを話すと、生き残っているはずがないと疑われたことがある。

pp190806theyear1945-14b.jpg

東野真里子(64)
被爆2世。20歳になって原爆障害調査委員会(ABCC)から通知が来るまでは、被爆2世としての自覚は薄かった。原爆症で亡くなった長男がいることも数十年後に初めて知った。

◇ ◇ ◇

撮影:阪口 悠
1990年、大阪府生まれ。生後3カ月でアメリカに移住し、現在ニューヨークを拠点として、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカーなどの新聞・雑誌を中心に活躍している。

関連サイト:1945

Photographs by Haruka Sakaguchi-Institute

<2019年8月13&20日号掲載>

「Picture Power」の過去記事(2010年3月~2018年6月)の一覧はこちら

2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATOは国防費拡大を、英外相「世界はより危険な場

ワールド

OPEC月報、「OPECプラス産原油」の需要予測に

ワールド

ガザ停戦交渉、合意なく終了 イスラエル首相は戦闘継

ビジネス

適切か、適切でないか言えば不測の影響与える=為替水
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 5

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story