Picture Power

【写真特集】独裁へと突き進む新トルコ帝国の日常

NEW SULTAN FOR A MODERN TURKEY

Photographs by EMANUELE SATOLLI

2020年01月16日(木)18時10分

今年3月の統一地方選で候補者の応援に訪れたエルドアンのバス降車を治安部隊が警護する(イスタンブール)

<他民族を排してナショナリズムを高めるエルドアン大統領の政策は見事に浸透している>

トルコにエルドアン政権が誕生して16年、政府と与党・公正発展党(AKP)は過激なナショナリズムと原理主義的なイスラムの教えを扇動して政治力を高めてきた。

2019年10月にシリア国境沿いで行われた戦闘もその一環だ。シリア難民を移住させる「安全地帯」をつくるという大義の下、トルコ政府がテロリストと見なすシリア北部のクルド人民兵組織、人民防衛隊を容赦なく攻撃した。

170人の犠牲者と30万人以上の避難民が出たが、国境地域のトルコ住民は政権と同様、クルド人をテロリストと信じて疑わず、この戦闘を強く支持していた。他民族を排してナショナリズムを高めるレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の政策は、見事に浸透している。

トルコに移り住んだ写真家エマヌエーレ・サトーリは、政権に反発する世俗主義者の姿も含め、この国で起きている歴史的変化を追っている。彼が「新スルタン」と呼ぶ現代の絶対君主エルドアンが残した血なまぐさい足跡をたどりながら。

ppturkey02.jpg

南東部アクチャカレで綿花農場の傍らを通過する軍事車両。シリア北部と国境を接するこの地域では10月からクルド人勢力の掃討を目的とした攻撃が続いていた


ppturkey03.jpg

南東部ディヤルバクルのクシュヌモスクは世界遺産にも登録されているが、クルド労働者党(PKK)支持者とトルコ治安部隊の戦闘で被害を受けた(2015年)


ppturkey04.jpg

イスタンブールで初めて開催された「控えめなファッションウイーク」で、モデルの女性が保守的なイスラム教徒向けの服を着てポーズを取る(16年5月)


ppturkey05.jpg

植毛手術を受ける男性(イスタンブール、15年)。トルコの植毛産業は10億ドル規模で、顧客の多くがサウジアラビアやクウェートなどのアラブ諸国からやって来る

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言

ワールド

ジュリアーニ氏らアリゾナ州大陪審が起訴、20年大統

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story