Picture Power

【写真特集】流血と破壊に蹂躙される現代の暗黒郷アマゾン

A DESTROYED TREASURE

Photographs by TOMMASO PROTTI

2020年01月29日(水)17時30分

滝の裏側で遊ぶカヤポ族の子供たち。ブラジル北部パラ州にあるカヤポ族の居留地は、日本の本州の半分ほどの広さ。世界有数の規模の保護区だ

<アマゾンの熱帯雨林を切り開く人々、水銀で地下水を汚染する人々......彼らの多くは貧しく、迫り来る未来への選択肢などない>

上空からは無垢に見える熱帯雨林に、私の興味を引き付けて離さない汚れたオーラがある。汚い思想。汚れた都市。私の知る南米アマゾンは、倒木や、孤立して暮らす先住民族、大河だけの土地ではない。

巨大な熱帯雨林の真ん中に生まれた都市が、制御を失い拡大し続けている。ブラジルのベレンやマナウスといった都市は、いま世界で最も危険な場所の1つだ。アマゾン川は南米有数のコカイン取引ルートで、犯罪組織が支配権を争っている。弾丸を浴びた死体がトラックで運ばれていくのを、まるで何かのショーを見るように、子連れの女性が眺めている。

森を切り開く人、水銀で地下水を汚染する人、土地を耕すために森林を燃やす人......。彼らの多くは貧しく、迫り来る未来への選択肢などない。彼らにとって森林は余るほどあり、間違っているのは科学者であり、飢餓の痛みこそがリアルだ。

ベールに包まれた流血と破壊の真実に光を当てるため、私は写真集『AMAZÔNIA』を出版した。現状を知り、疑問を持つことが何より重要だと信じている。

――トンマーゾ・プロッティ

ppamazon02.jpg

ブラジル北部マラニョン州のアラリボイア先住民保護区で、違法に切り倒された木を悲しげに見つめるグアジャジャラ族の森林警備隊員


ppamazon03.jpg

マラニョン州は森林火災と違法伐採の最も大きな影響を受けた地域。2017年までに熱帯雨林の75%を失った


ppamazon04.jpg

アラリボイアのグアジャジャラ族森林警備隊員たちが、違法伐採者に協力したとみられる同僚に「制裁」を加える

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアで米国人2人が拘束、1人は窃盗容疑の米軍兵士

ワールド

ブラジル南部洪水、死者90人・行方不明130人超に

ワールド

トランプ氏と性的関係、ポルノ女優が証言 不倫口止め

ビジネス

アマゾン、シンガポールで1.3兆円投資 クラウドイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story