Picture Power

【写真特集】アマゾンの最後の叫びに包まれて

Photographs by SEBASTIÃO SALGADO

2021年06月26日(土)16時40分

アナビリャーナス群島が広がるネグロ川下流に残された岸辺。雨期に浸水する森は「イガポ」と呼ばれる(アマゾナス州、2019年) Phootgraphs by ©Sebastião Salgado

<環境破壊を続ける人類は、地球にとって「侵略者」だったのだろうか>

世界中で危機的な環境破壊が進むなか、巨匠セバスチャン・サルガドがブラジルのアマゾンとその地に生きる先住民を撮影した最新写真集『アマゾニア』は、見る者に深淵な問いを突き付ける。われわれ人類は、地球にとって「侵略者」だったのだろうか、と。

サルガドは先住民たちとジャングルで生活し、ピラニアがすむ川をボートで渡り、軍用ヘリコプターから熱帯雨林を空撮した。彼はアマゾンの「計り知れない自然の力」に圧倒されながらも、原始的で家族的な生活を営む先住民との暮らしに、懐かしさとも言うべき居心地の良さを感じたと言う。

人類が侵略者として在るのではなく、母なる大地と共存する未開拓地に身を置いて、あるべき形に「帰る」感覚を覚えたのだろうか。

サルガドはその感動を「言葉や写真では十分に伝え切れない」としながらも、先住民の手で守られてきた地球の神秘と美しさが「これ以上消えてなくなる前に記録しておきたかった」と言う。彼は『アマゾニア』の序文をこう結んでいる。

「50年後、この写真集が失われた世界の記録とならないことを心の底から願う」

ppamazon02.jpg

セラ・ドゥ・ディビゾー国立公園上空の分厚い雨雲から豪雨が爆発的に降り注ぐ様子を、サルガドは「きのこ雲のようだ」と評した(ブラジル北西部アクレ州、2016年) Phootgraphs by ©Sebastião Salgado


ppamazon03.jpg

カンパ・ドゥ・リオ・アモネア先住民地域に住む少女ヤラ・アシャニンカ。顔のペイントは彼女が未婚であることを示す(アクレ州、2016年) Phootgraphs by ©Sebastião Salgado


ppamazon04.jpg

トワリ・イピ村の先住民ゾーエの男性たち。ゾーエは彼らの言語で「私は私」という意味を持つ(北部のパラ州、2009年) Phootgraphs by ©Sebastião Salgado

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story